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2023年08月12日

糖質についてあらためて考える

糖質についてあらためて考える


 シュガーハイという言葉を聞いたことがありますでしょうか・・・?

 この言葉は、1970年代に小児アレルギー専門医のベン・ファインゴールド氏が著書「Why Your Child Is Hyperactive あなたの子どもが多動である理由 」で、砂糖などの食品添加物と子どもの多動性を結び付けたことから端を発しているとされています。

 その考え方については、その後、砂糖と多動性が無関係であることは1994年と1995年のレビュー論文ですでに詳しく検証され、高く評価されている事や、圧倒的多数の研究者が「関連性はまったくないとしています」と、米小児科学会(AAP)栄養委員会のマーク・コーキンズ委員長も述べていることからすれば、現在の知見によれば、「関係ない・・・」という理解が妥当と考えるのが良いのだと思います。

 しかしながら、砂糖の過剰摂取に関する健康上の問題は数多く議論され続けており、その中にも、「砂糖を取り過ぎると子どもたちは多動になる・・・」、「落ち着きを失い、衝動的に行動したり集中力が続かなくなったりする・・・」いう考え方が無くなっているかと言えば、「そうとは、言えない・・・」という現実があります。
 また、一部の人たちに於いては、「シュガーハイ」という考え方は、今も残っており、以前にも増して頑なに信じられているとも言われています。

 前出のマーク・コーキング氏によれば、「子どもたちが砂糖を過剰に摂取しがちになるのは、たとえ砂糖を一切口にしていなくても興奮状態になってしまうイベントにおいてなのです。」と説明し、たまにしか会わない親類や友人が集まる祝いの場に身を置くこと自体、子どもたちにとっては非常に強い興奮剤として作用することと、砂糖の摂取による興奮とが勘違いされている可能性についての視点での説明をしています。

 とはいえ、そのような時には、お菓子やケーキ、甘い飲み物など・・・糖質を日常よりも多く摂っていることについても事実としてあります。さらに、子どもが大人と比較して落ち着きが無かったり、感情の起伏が激しかったりするのは、ある意味当たり前のことと認識する必要があるということもあるのかもしれません。

 とはいえ、糖質と言っても人体が栄養素として吸収していくために様々なものがありますので、そのようなことも意識する必要があるようです。

 栄養学の世界では、食事から取るさまざまな糖質を大きく2種類に分けています。ひとつは、食品中に天然に含まれている糖質と、それとは別に食品加工時に加えられる添加糖と言われる糖質です。
 例えば、果物にはフルクトース(果糖)、牛乳や母乳などにはラクトース(乳糖)という糖質が含まれている。このように食品中に元々含まれている糖質については摂取量を制限する必要はないとされています。
一方、添加糖については、米小児科学会(AAP)よると、添加糖は肥満、虫歯、心臓病、高コレステロール、高血圧、2型糖尿病、脂肪肝などにつながるリスクについての報告がなされています。

 添加糖に関しては、天然の食品に含まれる糖質とは異なり、高度に精製されているために食物繊維などの栄養素が含まれていないことを理解しておく必要があります。
そのために、血糖値の急激な上昇や下降に関与したり、体内の慢性炎症に影響を与える可能性が示唆されているというような事も理解しておく必要があります。

 また、果物や野菜の不足によって腸内環境の乱れから便秘などの症状につながり、その不快感から子どもたちが不機嫌になるというような指摘もあります。

 米国では、添加糖の量を独立した項目として栄養成分表に表示することが義務付けられているために、スポーツドリンクや朝ごはんに食べるグラノーラバーなどに含まれる砂糖の量を把握できるような環境があるようです。

 糖質=悪者ということではなく、たまに少量ずつ食べるのであれば、糖質にも様々なものがあり、その全てが必ずしも悪いものではないという認識が重要で、お誕生日にケーキやデザートを食べることに問題はないですが、日常的な食生活に含まれる精製度の高い糖質の量・・・として注意しておく必要はありそうですね。





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