2017年11月25日
「良い菌」と「悪い菌」と「空気」

先日、コンビニチェーンがお弁当やお総菜などの食品添加物を、従来から大幅に減らすという報道がありまりました。そもそも、食品添加物を利用している理由としては、「色を保つ」「安価に調味が出来る」などがありますが、「腐敗などの品質の劣化を防ぐ」というのが一番の理由だと思います。
その「食品添加物を減らす」ことで、「腐敗などの品質の劣化を防ぐ」という課題は大丈夫か?という疑問が残るかたもいると思いますが、ここでポイントとなるのが「空気」なのです。
一言で「空気」と言っても色々な、気体がありますが中でも一番関係するのが「酸素」です。
細菌と呼ばれる微生物には「好気性」と「嫌気性」という酸素のある状態で生きられる種類のものとそうでないものがいます。
一般的に、人体に対して食中毒の様な消化器系感染症を引き起こす菌の多くは「好気性」であることから、酸素の非常に少ない状態をつくることによって、食中毒に関わる菌の増殖を防ぐことが出来るということなのです。
先ほどの大手コンビニチェーンでは、容器をパッケージする際に、一緒に入る空気の組成をコントロールすることで、品質劣化を防ぐための食品添加物の使用料を減らすことが可能になったといういことです。
すでに、お菓子などに入っている小さな袋の脱酸素剤も同じような効果をもたらすものですが、菌そのものを性質を知ることで、「薬剤などを使用する殺菌」以外の方法で、食品衛生のレベルを高める工夫が色々な所でなされているのです。
このことは、人間の身体の中でも同じことが行われていると言われています。「良い菌を増やし、悪い菌を減らし・・・」というフレーズを聞いたことがあるかと思いますが、この「良い菌」は、常在嫌気性菌と呼ばれるもので、人それぞれに棲みついている「固有の酸素の嫌いな菌」のグループで、「悪い菌」も同様に「固有の菌」グループなのです。
この「悪い菌」というのは、免疫システムの中で「悪」と認定されていますので、免疫システムで抑制をしてくれますが、ストレスや食事などの影響を大きく受けることも良く知られています。
また、外部から入る「菌」は、胃や十二指腸内での胃酸や胆汁酸によって、多くの悪い菌は「殺菌」され、腸まで届きにくい仕組になっているのですが、残念ながら腸まで届きにくいのは「良い菌」も条件は同じです。
しかし、もともと腸に居る菌は、食事や常在菌から産生される物質や気体に大きく左右されるということになります。
以前にも述べさせていただきましたが、大腸は非常に酸素の少ない環境であるために小腸に比べて約100倍近い嫌気性菌が棲みついていると言われています。
菌の中でも、酸素が全く苦手なものもいれば、少しなら大丈夫のグループもいます。この「酸素」の好き嫌いが小腸と大腸でうまく棲み分けをしながら身体に作用することになります。
一部の乳酸桿菌は大腸の入り口近くの小腸下部に棲みつくことにより、小腸に7割以上あると言われる免疫システムにも働きかけながら、大腸内に産生した乳酸を出すために、酸に弱い悪い菌の抑制にも影響を与えているというような報告もあります。
菌の種類や性質は様々ですが、その性質をうまく見極めながら、自分にとっての「良い菌」との出会いを意識することも、健康を保つために大切なことかもしれません。