2025年02月06日
男性更年期障害と腸内細菌

歳とともに更年期障害によってQOLの低下に悩んでいる方も多いのではないでしょうか、以前であれば更年期障害と言われるような症状は、女性特有のものとされていましたが、男性にも加齢やストレスによるホルモンバランスの乱れによって、更年期障害というような症状が現れるのはご存知でしょうか。
順天堂大学医学部泌尿器科学講座の堀江重郎教授によりますと、男性の更年期障害では、テストステロンの低下により倦怠感、集中力の低下、不眠、筋力低下、体重増加などが生じ、また、精神面ではイライラ、不安感、落ち込みが見られるとされています。
女性の更年期障害は閉経という遺伝的要因が大きいとされていますが、堀江重郎教授によれば、男性の場合、社会的環境の変化やストレスによる影響が大きく、退職、転職、社会的なつながりを失うことでテストステロンの低下を招きやすくなるというのです。
また、症状についても個人差が大きく、まったく症状がない方もいれば生活習慣病やうつ症状などにつながってしまうようなケースもあるようなので、男性とはいえこのようなことが起こりうるということを認識しておくことは大切かと思います。
また、動物実験の段階なので直接的な因果関係については明らかではないものの、一部の腸内細菌がテストステロンの分泌に関与しているという報告もありますので、腸内環境に対するアプローチも効果的な予防対策のひとつになる可能性もあると考えられています。
現在の研究においては、様々な腸内細菌が産生するポストバイオティクスと呼ばれる代謝物質に注目が集まりつつあります。そして代謝された物質が身体のあらゆる機能を支えていたり、恒常性に寄与している可能性についても様々な研究が行われています。
その様々な機能のひとつにホルモン物質の生成に関することもあるとされていることが、男性の更年期障害に対する効果と言われているのだと思います。
また、有酸素運動や筋力トレーニングなどの運動を取り入れるような生活習慣の改善によって、テストステロンの自然な分泌を促すことも有効な手段のひとつともされています。
とはいえ、社会的な要因が大きいとされていることからすれば、趣味やコミュニティへの参加がストレス軽減につながり、ホルモンバランスの維持には効果的であると考えることも出来ます。
そして、社会的つながり=仕事という状態だけではなく、早いうちから地域コミュニティとの関係づくりや趣味などを通じた仕事以外の人間関係を大切にすることで、長い意味での自身の孤立につながらないような準備も必要なのかもしれません。
男性の場合は、自分の身の回りのことが出来ないことに対して無関心な方も多い傾向があると言われています。
その状態が、仕事中心の生活によって「偏った価値観でも不自由せず、周りの人たちが何とかしてくれる・・・という想い」からくるものだったとすれば、早いうちから、お腹の中の多様性のみならず、人間関係の多様性を意識しながら準備していく事も男性にとっての更年期障害の予防につながるのではないのでしょうか。