2016年08月05日
コメと小麦の違いを考える

近年、「糖質制限」というキーワードとともに良く耳にするのが「コメ離れ」という言葉です。とはいえ、日本人の主食として長年付き合ってきた「コメ」とその対極にある「小麦」との違いについて少し考えてみたいと思います。
世界の三大主食と呼ばれるコメ、小麦、トウモロコシ・・・いずれも植物の種子になります。つまり、食べ物と言うよりも種子としての構造などに注目する必要があります。
まず、コメと小麦の食べ方の違いには大きな違いがあります。その違いは、コメは種子の粒の状態を食べるのに対して、小麦は粉にして加工して食べることがほとんどです。
それぞれの食べ方には理由があります。ひとつは、種子そのものの硬さです。食用にする際に邪魔になるのが糠(ぬか)ですが、そのためコメも小麦も糠を取り除く必要があります。その糠を取り除く際に、小麦はやわらかいために粉砕して取り除いた方が向いていたのに対して、コメは堅いために表面を研磨することで取り除く方が簡単だったということのようです。
また、糠とともに取り除いて食べる部分の一つには、胚芽があります。コメの場合は、種子の横に小さく胚芽がついていますので、研磨によって糠同様に取り除くことが出来ますが、小麦の場合は胚芽が種子の中に巻き込んだ構造になっているために、胚芽を取り除くには、粉にしてから、篩(ふるい)などで取り除く必要があったのです。
そのために、コメと小麦の両者の「食べ方」に大きな違いが出てきたのです。
もうひとつ、食べ方に大きな違いをもたらした理由があります。その理由は「グルテン」の有無です。グルテンは、小麦特有のタンパク質で麺のコシやパンのモッチリ感につながる成分で、コメには含まれていませんので、コメは麺類やパンには向かないということになります。
近年はこのグルテンに対して、「糖化」のリスクの上昇や、小麦アレルギーのアレルゲンであるというようなことがわかってきたこともあり注目され始めた成分です。
そのほかの違いについては、食べたときの味覚に関することになりますが、これは、こ好みもありますので一般的にな傾向として言われていることを紹介しますと、コメは、米粒そのものを炊飯という「煮る・焼く・蒸す」という3つの調理方の要素を複雑に組み合わせた方法で食べる文化が出来上がってきました。そのために、もともとの結晶質の種子本来のほんのりとした甘みを感じることが出来るために、炊飯した「ご飯」そのものを美味しいと感じる人が多いのです。
その一方で、小麦は、粉にしてしまうために、種子本来の味覚を感じにくいこともあり「塩や砂糖、油などとの相性が非常に良い・・・」ということになります。
また、最近は「コメ=糖質」というイメージが強くなってしましましたが、コメには多くの機能性成分が含まれていることにも改めて注目していただくことも大切だと思います。
具体的には、乳酸菌などの腸内の善玉菌を整えるための食物繊維をはじめ、抗酸化作用のあるフィチン酸、成長促進作用のあるγ-オリザノール、病原性微生物防御や肥満防止に作用すると言われている酵素阻害タンパク質、酸化防止作用のあるポリフェノールやフェルラ酸など様々です。
「パンにしますか・・・?、それともご飯に・・・?」というやり取りは、意外と多くのところで聞かれますが、「パンとご飯」・・・主食だから同じ・・・なのではなく、実は結構違うところが沢山あるということも知っていただけるとありがたいです。
最後にひとつ、・・・水田は、災害をはじめ自然環境にも大きな役割を果たしてきていることも、お忘れなく。
この記事へのコメント
おっしゃるように、芋や穀類の食べ方には、色々なその土地の風土や食文化としての様々な食べ方がありますね。
Posted by toyohiko
at 2017年10月10日 23:02

玄米・全粒粉ならタンパク質があるが、白米・白小麦はほぼ炭水化物。
※昔は麦飯といって、半分ぐらい大麦を混ぜていた。
小麦を発酵させて焼けばパンだが、蒸せば饅頭という和食ですね。
ビーフン・フォーなど、米粉麺だってありますよ!
※昔は麦飯といって、半分ぐらい大麦を混ぜていた。
小麦を発酵させて焼けばパンだが、蒸せば饅頭という和食ですね。
ビーフン・フォーなど、米粉麺だってありますよ!
Posted by イマイ at 2017年10月08日 21:10