2018年04月14日
虫歯予防と再石灰化

虫歯というのは、「歯を削られる・・・」とか、「歯が抜けてしまう・・・など、誰もが嫌なイメージを持っていると思いますので、虫歯予防というのは多くの方が関心を持っていると思います。
ここで、虫歯になるメカニズムに対して確認してみましょう。
虫歯というのは、口の中にいる虫歯菌(ミュータンス菌)と呼ばれる乳酸菌の仲間が歯に付着し、その付着した場所で口の中に残った食べカスの中の糖質を分解し酸を出すことで、歯を溶かし始めることから始まります。
この虫歯を予防するために、原因を取り除かなければならないのですが、ここで、考えなければいけないのが、「原因の完全除去が可能かどうか・・・?」ということだと思います。
もう少し具体的に云いますと、口の中にある虫歯菌の完全除菌は難しいし、物を食べる以上、食べカスを口の中からゼロにすることも難しい・・・ということです。
口というのは、一番入口の消化器官としての機能がありますので、噛むという行為を含め、健康を維持するためには非常に重要なものである事は云うまでもありません。
特に、「しっかり噛んで食事が出来る」ということは、「美味しさ」や「満足感」にもつながるため幸福感にも直結しますし、噛むという行為そのものが脳の神経系に対して様々な良い働きがあることも、最近研究が進みつつあります。
虫歯予防に対してよく話を聞くのが、「歯磨き」と、「フッ素」の塗布です。
「歯磨き」の目的については、云うまでもありませんが歯の周りにこびりついた虫歯菌の除去です。以外に勘違いをしている方も多いと思いますが、いわゆる「歯垢」というのは、食べカスの塊というよりも、虫歯菌(ミュータンス菌)や歯周病菌(ジンジバリス菌)が集まってネバネバになってこびり付いたものです。
しかも、歯にくっつきやすい性質があるために歯と歯茎の間の隙間に入り込んでいることが多く除去しにくいため、これを丁寧に取り除く必要があります。
「フッ素」ついては、予防に良い・・・ということはよく耳にするが何で、予防になるの・・・?まで、理解している方は少ないかもしれません。
フッ素の効果についての一番のキーワードは「再石灰化」です。歯というの1本1本神経が通っていて唾液の中に溶けている、リン酸カルシウム等の歯の成分を利用し、ミクロの細かい傷を修復する機能があります。フッ素を塗布することで、この再石灰化が促進されるために虫歯予防になるというのです。
特に、初期虫歯と言われる歯に穴が開く前の状態であれば、「歯」自身のチカラで、健康な歯に修復できるというのです。
そのために、医療機関でフッ素の塗布をしたり、フッ素を配合した歯磨き剤が販売されていたりするのです。
ちなみに、医療機関で使用するフッ素は9,000〜123,000ppm。市販の歯磨剤に配合されているフッ素は、500〜1,000ppm程度と言われています。
ここで、キーワードになるのが、「再石灰化」という言葉です。「口の中の歯の成分が、歯を修復しているのであれば、歯の成分をもっとたくさん口の中に入れることで、もっと効果的な虫歯予防になるのでは・・・」と考えた人がいたのです。
歯の成分が、リン酸カルシウムの一種であるハイドロキシアパタイト(Hap)とコラーゲンで出来ている事は古くから解っていたのでですが、そのハイドロキシアパタイトを1972年に東京医科歯科大学医用器材研究所の青木秀希教授らのグループが素材として製造することに成功したのです。
そのため、「歯の成分」の入った歯磨き剤というものがつくられるようになりました。
しかし、歯の成分であるハイドロキシアパタイトは、歯の成分であるために非常に堅いという性質があります。
そのために、粒子が大きいと逆に歯を削ってしまい、再石灰化に結び付かないという問題もあります。そのために、ナノレベルでの粒子にすることで、フッ素の塗布より大きな再石灰化促進の効果に結び付いたそうです。
実際にハイドロキシアパタイトを配合した歯磨き剤を使った研究結果によりますと使用していない群と比べてむし歯の発生が低く、う蝕抑制率は、男子36%、女子56%で、統計的にも有意なう蝕抑制効果が見られたという報告もあります。
研究によりますと、歯磨き剤にナノレベルのハイドロキシアパタイトを配合することで、再石灰化を促すだけでなく、歯の成分に付着しやすい虫歯菌や歯周病菌の抑制効果につながったとも考えられています。
このような、ナノレベルのハイドロキシアパタイトの入った歯磨き剤も市販されていますので、配合成分の「薬用ハイドロキシアパタイト(ナノレベルのものは、薬用ハイドロキシアパタイトと表示されており、薬用の文字がつかないハイドロキシアパタイトは粒子の大きいものを使用しています。)という表示を気にして試してみるのも良いかもしれませんね。
Posted by toyohiko at 15:59│Comments(0)
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