2018年04月21日
睡眠というメカニズム考える

「春眠、暁を覚えず」という言葉があります。「どうも春先は眠気が・・・」とちょうど良いぽかぽか陽気に誘われてというイメージを持つ方も多いと思いますが、実際の意味は、「日の出時刻が早くなり、夜明けになったことを気づかないことで、春になってきたことを実感する」という意味があると言われています。
この、「春」と「睡眠」については、三寒四温に代表されるように日々の寒暖差が激しい季節のために、身体にかかるストレスが多くなり疲労が蓄積し易いという事とも関連しているとも言われており、最近では「春バテ」というような表現もされているようです。
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の裏出良博教授によりますと、脳の中に眠気の蓄積や消去に関係する睡眠物質と言われるようなものがあり、その一つがプロスタグラジン(PG)D2と呼ばれ、起きているときにその睡眠物質が蓄積される仕組みになっているそうです。
つまり、「どんなに頑張って起き続けようとしても最後には寝てしまう・・・」というのが普通なのだそうです。
この睡眠物質に関することについては、まだまだ解っていないことが多いと言わ言われていますが、人間が何故、睡眠を必要とする理由に関しては少しずつ分かってきています。
その一つの理由として考えられているのが、身体のエネルギー消費の節約です。皆さんもご存じのように、脳は非常に大食漢で全体のエネルギーの4分の1程を消費していると言われていますので、節約することも必要だ・・・という考え方です。
もう一つは、脳内の情報の整理と言われています。これは、大量のデータがメモリに溜まって動作が遅くなってしまったパソコンと同じで、記憶の保存と消去の選択は睡眠中に行われているとされています。
そのため、睡眠不足は健康についてあらゆる影響が出やすいとされています。
ある実験では、健康な若い男性の睡眠を毎晩4時間に制限して4日間過ごさせた結果、血糖値の調整がうまくいかずに高くなり、高血糖になったそうです。更に、睡眠と糖尿病との関係を10年間の追跡調査で調べたところ、睡眠時間が6時間以下もしくは8時間以上の人が糖尿病になやすいなどの結果もあるそうで、睡眠は少なくても多くても良くないということなのだそうです。
また、「不眠」という悩みを持っている方も多いと思いますが、不眠から抜け出せない背景には、「不眠への不適切な思い込みや、生活習慣」がある場合が多いとも言われています。
日本大学医学部精神医学系の内山真主任教授によりますと、寝つきの悪さの背景には、「自分で決めた時刻になったから・・・」ということで、眠たくないのに寝床に入る事によって起こっていることも少なくないそうです。
この「眠たくないのに寝床に入る・・・」ために中々眠れないため結果として、寝床にいる時間が多くなってしまうということが起きてしまします。その結果、本来の睡眠時間との差の分だけ夜中に目が覚めてしまうことがあるようなのです。
人間は、体温や脈拍が低下するなど体内時計の働きで、リラックスすることで休息体制に入り眠気を感じ始めるので、交感神経が優勢なままですと眠りに就く状態にはなり難いのです。さらに、テレビやスマートフォンなど視神経や脳への強い刺激の受け続けた状態で寝床に入ってしまうと、なかなか、身体が休息状態になり難いのです。
そのためにも、寝床でダラダラ過ごすよりも眠気を感じてから寝床に入り、寝床では寝るだけというのが望ましいのです。
また、起床時も一定時間に目ざましなどで起きることが重要で、「二度寝は気持ちいい・・・」と言いながらも、あまり長い時間寝床で過ごすようになるのも不眠の原因になるそうなのです。
近年、睡眠負債などという言葉もあり、心地の良い睡眠に注目が集まっていますが、眠りの機能や眠くなる仕組みを少しずつ理解することで心地よい「春眠」につながると良いですね。
Posted by toyohiko at 21:04│Comments(0)
│身体のしくみ