2018年05月02日
生活習慣病と腸内フローラ

生活習慣病と言えば、日常の生活の習慣によって引き起こされる疾病として、糖尿病、高血圧、さらにはがん、脳卒中、心臓病など多くの症状が知られています。
いずれの症状も、場合によっては生命に関わる重大な疾病として、様々な予防法や生活習慣の改善について検討されています。
また、人の腸内フローラも食生活を中心に様々な生活習慣によって影響をうけ、約1000種100兆個の腸内細菌の構成などが変化することが分かってきています。
ヤクルト本社中央研究所の南野昌信副所長によりますと、YIF-SCANと呼ばれる腸内フローラ解析システムが確立したことによって、腸内フローラに関する様々なことが分かるようになってきたそうです。
例えば、腸内フローラを構成する腸内細菌の種類や比率は、個人レベルで異なるだけでなく、たとえ健常であっても、年齢によって変化していくなど、多くのデータを解析されることによってより精度の高い研究結果が得られるようになってきました。
ここで、最近の研究によって解明されつつあるトピックスを紹介させていただきます。
糖尿病にはⅠ型とⅡ型があることをご存じの方も多いと思いますが、Ⅱ型糖尿病の患者と健常な人との末梢血管内の細菌を調べると、健常な人の末梢血には腸内細菌がほとんど検出されないのに対して、Ⅱ型糖尿病患者の末梢血には高い割合で検出されたという結果が出ています。
これは、Ⅱ型糖尿病の患者の場合、腸管のバリア機能が低下してしまい、いわゆる「腸漏れ(リーキーガット)」の状態になってしまっている事が推察されています。
この「腸漏れ症候群」は、脳腸相関を通じて、うつ病や自閉症などの症状との関係性も指摘されている症状ですが、腸管内の炎症などが多くの疾病に関わっているということが分かると当時に、更なる解明に期待がかかるところです。
また、抗ガン剤と腸内フローラとの関係についても色々なことが分かってきました。
マウスの実験によりますと、抗生物質を投与することで抗がん剤が効かなくなることが分かっています。その理由として考えられているのは一部の腸内細菌が腸管内の活性酸素の産生を促すことにことによって抗がん剤の効果を高めると考えられているようです。
更に、抗がん剤の効きやすさという点では、ビフィズス菌の存在が大きな役割をしているということもわかったきたようです。抗がん剤の効き易いマウスにはビフィズス菌が多いというだけではなく、抗がん剤が効きにくいマウスにビフィズス菌を投与することで、抗がん剤が効きやすくなることも報告されています。これは、ビフィズス菌の存在が癌に対する特異的な免疫システムに対して何らかの働きかけをしているのではないか、と言われているそうです。
最後に、近年注目されていますメンタルヘルスについても色々と報告があります。
L.カゼイ・シロタ(YIT9029)株を投与したマウスによる実験で、交感神経の興奮を抑制することが分かってきました。これは腸管神経系を通して興奮を抑えるともに全身の神経活動を調節する効果があるという可能性も示唆されています。
今回紹介した事例も含めて、腸内フローラが身体に及ぼす範囲が思っている以上に広い事と当時に、腸内フローラ自身も、日頃の「生活習慣」に強い影響を受けることからすれば、腸内フローラを整える生活習慣によって「生活習慣病」の予防になるのかもしれませんね。
Posted by toyohiko at 10:48│Comments(0)
│身体のしくみ