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2018年09月15日

大腸の健康について考える

大腸の健康について考える


 先日、国立がん研究センターが2014年に新たに癌と診断された人は86万7000人と過去最多を更新したという発表がなされました。その中でも最も多かったのが「胃がん」を抜いて「大腸がん」がトップになったということです。

 発表の内容を見ていくと、がんの罹患者の数は女性よりも男性の方が多く、男女それぞれのトップ3は、男性で、「胃、肺、大腸」女性が「乳房、大腸、胃」の順になります。更に男女を合わせますと、1位・大腸がん134,000人、2位・胃がん126,000人、3位・肺がん113,000人という順番になるそうで、「大腸がんの罹患者ががんの中で一番多い・・・」という報告がなされたそうです。

 その報告書では、男性のがんの罹患率は62%、女性で47%・・・更にがんで死亡する確率は、男性で4人に1人、女性で6人に1人・・・とされています。

 誰しもが、癌にはなりたくないものですがその予防方法があれば、少しでも確率を減らしたいと思うのが常だと思います。

 「がん」という病気についてはまだまだ未解明のところがあると言われていますが、人間が様々な成長や新陳代謝していくための「細胞分裂時におこるミスコピーに起因しているのでは・・・」と言われています。

 人間は、約60兆個といわれる人体の細胞を維持するために日々細胞分裂を繰り返しているのですが、その設計図となるのがDNAになります。しかしながら、どうしても一定の割合のミスコピーが出てしまうことが分かっています。
 その数は、1日当たり健常な人で5,000~6,000個程度と言われています。このミスコピーが「異型細胞のもと・・・」になっていくのです。

 その「異型細胞のもと」を放置しておくことは健康上問題があるので、毎日、数千個もできるミスコピーを処理することが必要になります。

 この処理を担当するのが、免疫細胞になります。
 特に、NK(Natural Killer)細胞と言われる免疫細胞は、癌細胞を死滅させる働きがあることで良く知られています。

 健康な状態であれば、日々の細胞分裂によって起きてしまうミスコピーの量とと免疫細胞の処理能力のバランスが取れているのでそんなに問題が無いと言われていますが、免疫細胞の能力もストレスなどの様々な要因に左右されるために、つねにその能力を活性化するための工夫も必要だと言われています。

 もう一つは、体内に「発がん性物質」と呼ばれるようなものを取り入れないことです。

 食事で、「良くないものを食べない・・・」というのは当然なのですが、腸内で有害物質を発生させないというのが重要なことになります。

 腸内の有害物質というと、イメージが湧かない方も多いかと思いますが、「おならが臭い・・・」時は、腸内に有害物質が充満していると考える必要があります。
更に、その状態を放置しておくとその有害物資が体内にどんどん取り込まれてしまうということになります。

 いわゆる、腸内腐敗・・・という状態です。

 腐敗というのは、微生物によって人体に良くない物質が発生した状態ということになりますので、原因は悪玉菌と呼ばれる微生物になります。

 ちなみに、善玉菌によって起こる現象は同じようなメカニズムでも、人体にとってよい物質が発生しますので、発酵と呼ばれるのが一般的です。

 この「腸内腐敗」を少なくするためには、様々な方法があると言われています。その中でももっとも有効だと言われているのが、大腸の最優勢菌種だと言われるビフィズス菌を大腸の中で増やすことです。

 ビフィズス菌を増やすと言っても、外から入れたものを増殖させて定着させるというのは難しいという問題があり、外から取り入れたものは「優秀な転校生」みたいなものとして一定期間で身体の外に排出されてしまうということがあるからです。

 とはいっても、もともと自身の腸内にいるビフィズス菌の仲間である「優秀な転校生」を常に大腸内に取り込むことによって、新たに入ってきた「転校生」が悪玉菌の活動を抑えたり、もともとの善玉菌を勇気付けたりすることで、腸内腐敗が抑えられます。

 このように大腸の健康を考えていくと、免疫細胞であるNK細胞の活性化させるような生活習慣や、腸内腐敗を抑えるような食習慣を心がけることも大切かもしれませんね。



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Posted by toyohiko at 15:27│Comments(0)身体のしくみ
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