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2018年10月14日

口腔ケアと誤嚥性肺炎

口腔ケアと誤嚥性肺炎


 誤嚥性肺炎といえば、高齢者にとっては致死率の高い疾患として知られています。誤嚥性肺炎というのは、口腔内の細菌が器官に入り、肺に流れ込むために起こると言われています。
 健常な成人の場合、異物が気管に入ろうとすると、咳をするなどで異物を排除しようとしますので大丈夫なのですが、この排除するための「咳反射」と呼ばれる反応が高齢者や脳卒中を起こした人はうまく機能しない状況になってしまうのだそうです。

 総合病院国保旭中央病院の歯科口腔外科部長の秋葉正一氏によりますと、「このような高齢者や脳卒中になりやすい人は、睡眠時に唾液を誤嚥することが多く、唾液が肺に流れ込んでしまう人が多い・・・」と言います。
 
 ただ、唾液は、殺菌等の機能を持っていますので、気管から入るだけであれば本来問題は無さそうなのですが、歯磨きが不十分だったり嚥下が不十分だったりすることで、唾液と一緒に細菌が口の中の細菌群が気管支から肺の中に入ってくることが問題となるのです。

 唾液は、口腔内の環境に大きな影響を与えるということは良くいわれています。

 通常、健常な人の場合には1日約1.5lの唾液が分泌されると言われており、その唾液が歯の表面や舌、粘膜についた汚れや細菌を洗い流してくれます。つまり、唾液が普通にでるということは、非常に大切なことになのです。

 ところが、嚥下機能が落ちて口から食べることができなくなったり、食べることが出来ても、「食べやすい柔らかいものばかり食べる・・・」ことで、噛む力が更に低下するなど悪循環に陥ってしまう様なケースでも、唾液の量が十分でないということもあるようです。

 唾液が十分に出ないというのは、健康上の様々な悪循環に関わってるそうで、加齢による筋肉の衰えや病気の後遺症などで口の開閉がうまくいかないケースや薬の副作用による口腔乾燥などもあります。

 秋葉氏によりますと、自律神経に作用する薬のほとんどは口腔乾燥を伴うそうです。

 これらの事からすると、口腔内の環境をしっかり整える事が重要だということがよくわかります。

 そのためには、唾液がしっかり出るライフスタイルと維持し、口腔内で悪い細菌を増やさない事が大切なのですが、現時点ではあまり言われてはいませんが、腸内環境と同じうように、「殺菌」というアプローチがあまり良くない結果を招くということも想定しておかなくてはいけないようなこともあるような気がします。

 腸内環境の例を言えば、抗生物質による感染症の原因菌の殺菌は善玉菌にまで影響が出てしまうために便ぴや下痢などの症状を引き起こしたり、耐性菌の出現を引き起こすリスクがあると言われています。

 また、死んでしまった「死菌」と呼ばれる状態でも宿主に免疫系をはじめ何らかの影響を与える菌株がいることも事実だということからしても、同じ消化器系である口腔内環境に関する考え方も変わってくるのかもしれません。

 とはいえ、現在できることは適正なブラッシングだけなのかもしれませんが、歯磨き剤の中には、歯の成分と同じハイドロキシアパタイトのナノレベルの粒子が入ったものもありますので、歯にバイオフィルム(歯垢)をつくる性質のある虫歯や歯周病を引き起こすと言われる細菌の除去には効果があるかもしれませんので試してみるもの良いかもしれません。



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Posted by toyohiko at 17:27│Comments(0)身体のしくみ
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