2019年01月26日
抗菌薬とワクチンによる予防接種

日本では、1994年に予防接種改正法という法律により、今まで「集団義務接種」から任意による「責務摂取」というような変化を遂げてきました。
この法改正のきっかけになったのが、全国各地で行われてきた予防接種被害による集団訴訟において、国が全面敗訴したことがきっかけであると言われています。また、その敗訴と同時に、予防接種の有効性や安全性について疑問を持つ人が多かったということも背景にあると考えられています。
一般的には、予防接種に使用されるワクチンというものは、感染症に関わるウィルスや細菌を弱毒化したり全く増殖できないように不活化することで身体の中に抗体をつくって、発症や重症化を防ぐことを目的としています。
また、ごくわずかではありますが、不活化の処理をしていない生ワクチンを利用していた時期もあり、ワクチンを投与することで、その症状が発症するなど、社会問題になったこともありますので、「ワクチン」という言葉の響きに対して様々な印象を持っている方もいることは確かだと思います。
日本にはワクチンギャップという言葉もあり、諸外国と比べて認可されているワクチンが少ないことや、予防接種にしても接種率が少ないということが指摘されているのです。
川崎医科大学小児科学主任の尾内一信教授によりますと、予防接種は、予防接種法に基づき「定期接種」と「任意接種」に分けられているのですが、この分類については行政として子どもの医療に対して潤沢な予算がないために公費負担するものを定期接種とし、そうでないものを任意接種としており、医学的な根拠にもとづいたワクチンの重要度を示すものではないというのが実態の様です。
一方で、抗菌薬については、一番の問題は、「耐性菌」の出現です。
簡単に云いますと、特定の細菌に対する薬を使ってもその薬に対抗し、存続して増殖できるだけの能力を菌自身が身につけてしまい人類にとっては更なる脅威に進化してしまうということです。
実際に、抗菌薬の使用と新規開発については、薬剤耐性菌との「いたちごっこ」みたいなところがあり、製薬メーカーとしても消極的なところがあったと言われています。
日本でも、WHO(世界保健機関)の要請もあり2020年までに抗菌薬の使用を3分の1に削減する「薬剤耐性対策アクションプラン」が閣議決定されています。
これらの様に、一概に予防接種や発症後の投薬治療にも様々な事情や社会への対応も問題もあるようです。
実際に、自分自身や子どもさんが風邪の症状になった時に、「早く治したいから・・・」という理由で、ウィルス性のものか細菌性のものかわからないうちに抗菌剤を服用するようなことが頻回にあるとすれば耐性菌を自らが作り出してしまうこともあります。
それとは逆に、細菌性による症状の場合はしっかりと菌を殺さないとウィルス性のように自己免疫機能で症状が回復するということはないので、しっかりと抗菌薬などで菌を殺してしまう必要があります。
様々な、ワクチンの利用が自分自身で選ぶことができるようになったということは、選択するだけの知識も必要になってくるということになります。一人ひとりの身体が違うということからすれば、当然、個々がしっかりとした判断の上で選択することが本来の姿です。
社会的な同調圧力によって、みんなと一緒出ないと肩身が狭いという理由で自分自身の意思を曲げてまで選択するということがないようになると良いですね・・・。
Posted by toyohiko at 16:42│Comments(0)
│社会を考える