2019年02月20日
お母さんの歯周病菌と赤ちゃん

お母さんの腸内フローラが赤ちゃんに大きな影響を与えるということについては、以前から云われており、そのメカニズムついても多くの研究者が関心を示しています。
しかし近年では、腸内菌叢だけでなく、口の中の細菌の状態である「口腔内菌叢が赤ちゃんに様々な影響を与えているのでは、・・・」ということが同時に注目され始めています。
そのきっかけになったのが、歯周病の生きた菌が臍帯血から検出され、口腔内の菌が血流を通じて赤ちゃんの胎内に侵入していることが証明されたことだとされているのです。
こうなりますと、口腔内の歯周病菌が胎児にどのような影響を与えるのか、というところが多くの方々の関心事かと思います。
先日も紹介した、東京女子医科大学小児科学講座主任教授の永田智氏によりますと、「歯周病菌の量が少なければ胎児への影響が及ぶようなことは無い。」としながらも、量によっては、子宮内感染症による死産の可能性も否定できないということのようです。
また、胎児に直接影響を及ぼす子宮内でいいますと、外と通じている膣内にガセリ菌を中心とした乳酸菌が最優勢となり、子宮内への細菌の侵入を防御していると考えられています。
しかし、乳酸菌群を中心とした細菌が少なくなってしまうと、他の細菌を制御できなくなって羊水内に伝搬してしまうこともあるというのです。
ここでポイントになるのが、二つあります。
一つ目は、そもそも口腔内にある歯周病菌をしっかり除去することです。
そのためには、日常生活でのしっかりとしたブラッシングが必要になってきます。
中には、ナノレベルのハイドロキシアパタイトの様に歯の成分の入っている歯磨き剤もありますので、虫歯菌や歯周病菌の歯に付着しやすい性質を利用することで、より効果的に口腔内の悪玉菌を減らすことができるかもしれません。
また、妊娠時の喫煙の影響については今更いうもでもないと思いますが、喫煙によって口腔内の細菌のバランスが崩れて、歯周病菌などの菌が優勢になるというような報告もあるので、あらためて注意が必要です。
二つ目は、子宮内の感染を防御するために膣内の細菌の状態を良い状態に保つことです。
膣内菌叢のメカニズムについては、まだ未解明のところも多いようですが、直腸から菌が入り膣内で生育し易い菌が残ることで膣内菌叢が構成されると考えられていますので、そのためには腸内フローラを整えることで、膣内菌叢も同時にコントロールすることになると考えても良いかもしれません。
また、妊娠中に気をつけることについても研究が進むにつれて色々と様子の変化があります。
例えば、以前は妊娠中に卵、乳、小麦などのアレルギーに関わる食品を除去することで、子どものアレルギー発症を防ぐと考えれられてきましたが、現在は、2016年の国立成育医療センターの「離乳期早期の鶏肉摂取が、鶏肉アレルギーの発症を予防する」という研究発表もふくめて、除去するよりも早い段階からの摂取による予防効果の方が注目を集めていることもあります。
「あれもこれも・・・」というように、神経質になることは無いかと思いますが、健やかな赤ちゃんの誕生のためには、日常のなかで「少しだけ、意識してみよう・・・」ということで、大きな効果につながりそうなことも沢山ありそうですね。
Posted by toyohiko at 15:54│Comments(0)
│身体のしくみ