2019年03月07日
アレルギーによるQOLの低下を食品で軽減できるのか?

アレルギーと言えば、花粉症やアトピー性皮膚炎など様々な症状がありますが、程度の差こそあれ、多くの方が何らかのアレルギー症状の悩まされているということを良く耳にします。
特に多いと言われているのが「花粉症」です。
一般的にはスギやヒノキというような春先に飛散の多い花粉に対するアレルギー症状を想像する方も多いと思いますが、イネ科やクリなどそれぞれの季節に於いて、何らかのアレルギー症状に悩んでいる方は年々増加し、近年日本人の2人に一人が何らかのアレルギー疾患に悩んでいるとも言われています。
したがって、様々な工夫をしながら日常のQOLの向上に対して試行錯誤している方々も少なくないということと相まって、アレルギー症状の軽減について効果の期待できる食品素材への注目や期待がが高まっています。
そのような中、花粉症やアトピー性皮膚炎などの症状に対しての軽減効果が期待できる「乳酸菌」に注目が集まっているようなのです。
この乳酸菌は、L.プランタルムYIT0132という菌株で、しかも、従来乳成分と一緒に発酵培養されている多くの乳酸菌とは異なり、柑橘類に含まれる果糖などとの相性が良く乳成分を全く含まない状態で、乳酸菌をつかった食品にも応用が可能であるということです。
乳成分につきましては、食品アレルギーに関する17品目にも含まれる食品としても指定されていますので、そういった意味でもより多くに方々に利用していただき易い食品としての活用が可能になったという二重のメリットがあります。
今回は、このL.プランタルムYIT0132という乳酸菌を利用した発酵果汁飲料についての、「アレルギー症状の軽減効果」に関する実験結果がありますので、ご紹介させていただきます。
そもそも、花粉症をはじめとするアレルギー症状は、本来、菌やウィルスなどの敵ではない物質を体内の免疫システムが間違えて攻撃してしまうため起こってしまう、云わば、自己免疫疾患のひとつと考えられています。
乳酸菌がアレルギー軽減のための食品素材として注目を集めている理由の一つは、消化器官の一つである腸に身体中の免疫システムそのものが集中しているとともに、この免疫システムに指令を出すための免疫細胞が、乳酸菌の産生する様々な物質と密接に関係してることが分かり始めたからです。
しかしながら、乳酸菌の種類によって産生する物質や条件などが異なるために、どんなものでも良いということではないということも同時に云えるのです。
今回の実験は、スギによる花粉症の症状のある42名の方を2つのグループに分け、L.プランタルムYIT0132発酵果汁飲料とプラセボ飲料とをそれぞれ1日当たり100mlを8週間継続して飲んでいただき、花粉症に関する自覚症状やQOLに関してスコア化した調査と採血によるIgEなどの抗体に関する項目の比較を行いました。
両社ともに、花粉の飛散量に対してスコアの相関はあったものの、特に「かゆみ」という項目に関して有意な差が出たことと、「記憶力の低下」「周りの人が気になる」「気分が晴れない」などの項目もプラセボグループに対して低い値を示したという結果を得ました。
また、アトピー性皮膚炎の症状についても、32名の方にL.プランタルムYIT0132発酵果汁飲料の8週間の調査結果に対しても、飲用グループとそうでないグループとの有意な差が認められたという結果が得られました。
「たかが、花粉症・・・」と思うかたもいるかもしれませんが、日常のQOLの低下は生活に様々な影響を及ぼします。
今回の様に、具体的な研究結果の示された成分をもとに、「手軽に手に入る食品として誰もが利用できる・・・」ことは、今後も含め大きな期待をしていきたいものです。