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2019年04月06日

骨の役割を見直してみる

骨の役割を見直してみる



 骨の役割というのは、骨格として身体全体を支える機能を始め、血液をつくったり血液に含まれる免疫細胞をつくったりと、身体にとって非常に重要な役割をしていることはおおくの方がご存じかと思います。

 しかし、近年では骨免疫学という学問分野が出来たり、骨格という硬いイメージだけではなく、健康を担う中心的役割をする臓器として改めて注目されているのです。

 「硬い」イメージの骨ですが、実は硬いだけでは力がかかった時の強度は低くなってしまうために、その強くかかった力を吸収するための「しなり」が必要になってきます。

 そのしなりに関するメカニズムが最近の研究でわかってきたということです。
 北海道大学大学院歯学研究員の網塚憲生教授によりますと、成熟した骨は、細胞同士が格子状に規則正しく並んでおり、この格子状の網の様な構造によって骨に対する力が、何処からどのようにかかってきているかを感知していることが分かってきたそうなのです。

 この、「規則正しい構造」が骨に対する負荷を、より正確に感知するための重要なセンサーになっており、この構造が無秩序であった場合には信号の伝達がうまくいかず、どの方向に力がかかっているのかを感知できないそうです。

 また、骨は骨細胞の格子状の構造だけではなく、コラーゲンの束とうまく絡み合っているような構造になっていることで、さまざまな負荷を計測しながら最適な「しなり」を実現するという非常に複雑な動きに対応しているのだそうです。

 骨に関する細胞には、骨をつくる「骨芽細胞」と、骨に埋め込めれた「骨細胞」、そして骨を溶解して分解する「破骨細胞」があります。骨芽細胞は、カルシウム、リン、コラーゲンを材料に基質を形成して、その後骨芽細胞は自ら作った基質の中に埋め込まれていきます。

 骨芽細胞と骨細胞は別々に存在するという感じではなく一つのグループのような感じなのだそうです。また、骨を吸収してしまう破骨細胞は、マクロファージのような大きな細胞で、骨を吸収・分解していくのだそうです。

 最近の研究では、このような骨の中で新しい細胞がつくられ、その一方で骨細胞を吸収・分解していく過程は、通常の新陳代謝とは少々異なり、先ほど説明した「骨にかかる力を常に感知している・・・」ということと大きく関係しているというのです。

 骨にかかった様々な負荷に対して、常に最適な構造に作り直しているというのです・・・。
 つまり、格子状の骨の構造のあらゆる箇所に対して、力の掛かった量や方向などを測定しながら、破骨細胞に、「ここを食べろ・・・、ここは食べない・・・」というような指令を出しているおり、運動などで掛かってくる負荷によって、この指令の状況が変化してくるので恒常的に適度な負荷がかかっていることが大切になるということです。

 また、骨量というのは20~40歳代位まで増加し、それ以降は少しずつ減っていくそうなので、適正な運動負荷による骨量の増加と減少量を少なくしていくことが大切になってくるのです。

 どうやら、骨というのは、腎機能が悪いと骨の状態が悪化するとい研究結果があったり、インスリンの分泌とも関連性があったり、全身の代謝ネットワークにも大きく関わっているようです。

 単なる「骨格」としての機能だけにはとどまらない骨は、「健康を担う重要な臓器の一つ」というもっと広い範囲で考えなければいけないのかもしれません。




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Posted by toyohiko at 23:20│Comments(0)身体のしくみ
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