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2019年07月13日

食物アレルギーについて考える

食物アレルギーについて考える


 アレルギーという言葉自身は、色々なところで聞きますので皆さんご存知かと思いますが、その原因物質や発症したときの症状など様々です。今回は、その中でも食物アレルギーを中心に食べるときの注意点などについて考えてみたいと思います。

 藤田医科大学地域連携教育推進センターの石原慎氏によりますと、アレルギーを起こすと解っていたはずなのに、思い込みや勘違いで発症に至ってしまうケースというのは意外に多いというのです。

 発症してしまう原因については、原因物質を含んだ食品の誤食ということになるのですが、ここでしっかりと押さえておきたいのが、「誘発する摂取量には個人差がある」ということです。

 この「個人差」対する認識の違いと安易な自己判断ということに起因するケースが多くみられるというのです。

 例えば、「少量であれば大丈夫・・・」という判断をしてしまうということです。この少量というのが問題で、簡単な洗浄によって残ってしまった極微量の乳成分に反応してじん麻疹が発症することや、市販のパンなどでもいつも食べているものと違うブランドのパンを食べてしまったために発症するというケースもあるのです。

 乳成分という視点で考えれば、食パン1枚当たりの牛乳タンパク質の含有量には大きな差があるというのです。
 発売しているメーカーの立場からすれば、自社の商品の特徴を出すことでファンづくりをしたり、売り上げも含めて実績を出すということが求められるので、内容成分が商品によって差があるということは、よく考えれば当たり前のことになるのですが、「食パンは、大丈夫・・・」というスイッチが、様々な判断を鈍らせるということにつながるのかもしれません。

 実際に、食パン一枚当たりの乳タンパク含有量は、いわゆる売れ筋のブランドだけで、少ないもので2.2mgから多いもので、215mgと100倍近くの差があるので十分な注意が必要ということになるのです。

 また、「食べた」以外に、「触った」「吸入した」というケースが起こってしまうことも、認識しておく必要があります。

 このような事例は、食品の入っていたビニル袋を工作などに利用したり、小麦粘土などアレルギーの原因物質が含まれている教材を知らずに使用してしまうことで起ることがあります。

 また、石鹸に牛乳成分が入っている事を知らずに利用したり、牛乳成分だけでなくその他のアレルギー原因となるタンパク質が入っていることでひどい場合は、アナフィラキシーショックになるケースもあるのです。
 
 また、食物依存性運動誘発アナフィラキシーのように、原因物質の摂取直後に症状が出るのではなく、摂取後の運動負荷によってアナフィラキシーショックの症状が出る場合などは原因が解りにくくなり対応が遅れてしまうリスクに繋がりやすいということもあります。
 この食物依存性運動誘発アナフィラキシーの場合は、食後2時間以内で負荷量の多い運動によって発症するケースが多く、ほとんどの場合がかゆみやじん麻疹などの皮膚症状を併発していますので、皮膚の状態を確認することでアレルギー反応かどうかがわかる場合もあるそうです。

 このように、単にアレルギーといってもアナフィラキシーショックのような重篤な状態に繋がるケースもありますので、このような症状のある方に対して注意しておく事についてより多くの人が理解をしておくことも大切な事かと思います。



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