2019年08月16日
ニキビと免疫システム

先進諸国では、90%以上の人が人生のいずれかの時点でニキビに苦しむといわれています。一番多いのは、皆様もご存知のように10代の後半ですが、近年はその様子も変化してきているといわれています。
25歳から40歳の女性のおよそ40%が、程度の差こそあれニキビを患っていて、その多くは10代の時にニキビに悩んだことは無いというのです。
そもそも、ニキビは男性ホルモンの過剰、皮脂の過剰、アクネ菌によって引き起こされる、皮膚の赤みや腫れ、化膿とされています。しかし、このメカニズムそのものは50年以上前から言い伝えられているもので、その信憑性については深く議論されていないということもあり、この説明そのものに矛盾が出始めてるということも最近分かってきたそうです。
例えば、男性ホルモンのアンドロゲン値の高い女性は、実際にひどいニキビを発症していなかったり、男性はアンドロゲン値が女性より高いのに、女性ほどニキビに苦しんでいないとか、アクネ菌は見つからない発疹があったり、健康な皮膚の人にも発疹で苦しんでいる人にも両方にアクネ菌が存在しているということなど様々です。
最近の研究などからも、アクネ菌の量とニキビの重症度、皮脂や男性ホルモンの量とニキビの発症しやすさには相関関係が無いということが言えるとともに、アクネ菌そのものがニキビの発症を左右する要素ではないということが明らかになりつつあるというのです。
そんな中、アクネ菌が皮膚にとってどのような役割を果たしてるかということは明確になっていませんが、ニキビ患者の皮膚には発疹があるところでも、そうでないところでも同じように免疫細胞が過剰に存在してるというのです。
つまり、ニキビについてもアクネ菌やその他の皮膚常在菌を味方ではなく、敵とみなすようになってしまった結果、アレルギーのように免疫の過剰反応を引き起こしてるのではという考え方も浮上しているのだそうです。
肥満、アレルギー、自己免疫疾患、精神的な疾患などは腸の透過性と慢性的な炎症を併発しているといわれています。実際に、うつ病患者の場合には肥満や過敏性腸症候群やニキビをともなうことが多いことは言われてきたそうですが、これまではうつ病そのものの苦悩によって引き起こされていると考えられていました。
しかし、腸の透過性についての研究が深まる中、腸管内から過剰に侵入してくるグルテンやラクトースのような食物分子やリポ多糖のような細菌由来の物質が、腸壁の境界線で免疫システムの攪乱を引き起こし慢性的な炎症を引き起こしているとすれば、自身の肌のコンディションそのものに対する考え方も変わってくるのかもしれません。
肌荒れについても、以前は、便秘のような腸内腐敗の進んだ状態の水分を体内にとりいれることで、毒素みたいなものが皮膚に表れて「肌荒れになる・・・」というような表現をしてたこともありましたが、腸内フローラの乱れが引きおこす、腸の過剰透過性とそれに伴って引き起こされる免疫反応としての慢性炎症なのであれば、抗生物質などの治療も一時的にはよくなってもかえって状況を悪化させることになるのかもしれません。
たかがニキビ・・・ではなく、免疫システムのSOSとして考えるのであれば、まさに「健腸美肌」を心がけていきたいものです。
Posted by toyohiko at 17:15│Comments(0)
│身体のしくみ