2019年10月19日
免疫システムと修正力

「何事にも準備が必要…」ということについては、多くの皆さんも同じかとおもいますが、人間の身体にとっても健康で居続けられるための「準備」としてのシステムが免疫システムになります。
細菌やウイルスなどの外敵に対して、あらかじめ準備をしておくことで外敵の影響を最小限に押さえるという意味ではまさに準備そのものということになります。
以前も、ご紹介させて頂きましたように免疫システムと腸内細菌叢とは密接に関係しています。しかも、現在の科学によりますと生まれたばかりの赤ちゃんは、無菌状態の為、母親の産道を通る時に、親からもらった腸内細菌群や母親の免疫細胞のなかの樹状細胞よって運ばれた腸内細菌の設計図にで赤ちゃんに引きつがれるとされています。
こうして、お母さんからプレゼントされた樹状細胞による設計図を元に、様々な腸内細菌に対して、「この菌は〇、この菌は☓・・・」というように産後、赤ちゃんの腸内に入ってきた菌に対して取捨選択することで、異なる条件での出産でも同じようなパターンの腸内フローラを形成していきながら、免疫システムにも影響を与え続けていると考えられています。
このような、基本的な準備をしているのにも関わらず免疫システムの働きについては確実かつ絶対というものにはならないのが現状です。
なぜならば、細菌やウイルスそのものが、常に突然変異を繰り返していくために、いままで準備していたシステムでは対応出来なくなってしまうからです。
このことは、自動車を真っすぐ走らせることや、航空機のオートパイロットシステムと比較してみると解り易いかもしれません。クルマをまっすぐ走らせるという行為は、自分自身で知らず知らずのうちにステアリングの微調整を繰り返し行うことで達成されています。航空機についても常にシステムが機体の方向などを微調整するためのシステムが作動しているからこそ、安心して飛行機やクルマに乗っていられるということになります。こういうことからしても、免疫システムも常に微調整をしていくための修正システムが大切なことが解ると思います。
この免疫システムの修正システムとは何を指しているのでしょうか。
このひとつと考えられる可能性があるのが、小腸にあるパイエル板という器官です。
このパイエル板の機能については、まだまだ未解明のところも多いとされていますが、消化器官に入った微生物との出会いの場であり、免疫システムのトレーニングセンター機能があるとされています。
つまり、このパイエル板を利用して、様々な外敵の突然変異に備え修正力をあげているということであれば、腸を含めた消化器官のコンディションを整えるための生活習慣を心掛けることは健康のために有効な手段のひとつであることは言えるような気がします。
そして、コンディションを整えるための具体的な手段としては、腸内環境を整えるための食生活を心掛けることです。
もちろん、乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスと言われる身体にとって有用な働きが科学的に証明されている微生物を積極的に取り入れることは最も重要なことのひとつになりますが、これだけで良いかといえばそうではありません。
既にご存知の方も多いと思いますが、食品に含まれるプロバイオティクスの多くは常在菌では、無いために常在菌の中の善玉菌を応援する優秀な転校生という存在です。
つまり、常在菌にいかにプラスの働きをするかが大切になってきます。
微生物も生き物ですので、元気に増殖していくためには美味しい食事が必要です。
だからこそ、宿主である人間の日常の食事が重要なのです。いわゆる善玉菌と悪玉菌では好みの食事は、違います。善玉菌といわれる微生物群は、食物繊維やオリゴ糖などの難消化性の糖類をこのむのに対して、悪玉菌といわれる微生物群は、動物性タンパク質や脂肪を好むといわれています。
更に、食品添加物などの化学合成された成分は、人類にとって食物の消化という数億年かけて積み上げてきたシステムにとって未知で規格外の物質として、消化のメカニズムから排除されると同時に、未消化のまま腸に到達し腸内環境を撹乱する可能性も指摘されています。
これだけの、要素を考えても日常の食生活の重要度は解ると思います。
私たちの免疫システムもこれで大丈夫…ということではなく、常にトレーニングや情報の収集をしていく中で突然の事態に対して柔軟に対応するための修正力が大切ですね。
Posted by toyohiko at 17:42│Comments(0)
│身体のしくみ