2019年11月08日
健康になりたいを考える

健康というものは、すべての人がそうありたいと思っていると言っても過言ではないものだともいえると思います。
その一方で、「なりたい健康」の姿については人それぞれ違うということもありますので、その人のライフスタイルも含めたイメージというのが大切になってきます。
健康の定義は、WHO(世界保健機関)の保健憲章の前文で、Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. (健康とは、完全に、身体、精神、及び社会的によい(安寧な)状態であることを意味し、単に病気でないとか、虚弱でないということではない。) というように、三つの要素によって支えられていると定義づけられているのです。
近年は、社会構造の高齢化と共に「孤立」というような問題が、様々なところで話題になっていますが、その裏側にある「子供や周りの人に迷惑をかけたくない…」という心理も身体的な状態と社会生活が密接な関係であるということを表していると思います。
そんな中、多くの人が「健康であるために必要なこと」は、何か…?
と考えると、多分「日常の習慣」ということになるのだと思います。三大疾病といわれる癌、心筋梗塞、脳卒中などの病気も以前は、成人病といわれていましたが、現在では、生活習慣病というように呼び方が変化してきています。
これは、これらの疾患が加齢によってのみ発症するのではなく、日頃の生活習慣の方がより大きな因子として関わっている事がわかってきたからなのだと思います。
そこで、重要になってくるのは「健康になるための生活習慣」の元になる情報ではないでしょうか。
当然、過食や運動不足など「わかっているけど出来ない」ということも沢山ありますが、知らないからやっていないとか、間違った情報にしたがって習慣をつけてしまったために返って健康を損ねてしまったというような事例も少なくないと思います。
そんなときに、頼りになるのが専門家といわれる人たちです。
当然、「病気にならない」ということからすれば医師ということになります。しかしながら、人間の身体というのは、思った以上複雑であることに加え、医師の世界も専門分野の細分化が進み、全ての人たちが「自分のなりたい健康の姿」への習慣づけのアトバイスの提供を受けることが出来るかというと、残念ながらそうではありません。
だからこそ、「自分のなりたい健康の姿」を共有でき、信頼出来る身近な存在が大切になってくるのです。言い換えれば、「自分のことを大切に思ってくれている」という安心感なのかも知れません。
多くの方が、「あなたが言うんなら…」という言葉を口にした経験があると思います。言うまでもなく、そこにはいろいろな関係が集約されているのです。
当然、いわれる大酒飲みの人に「お酒を控えなさい…」と言われても、「あなただけには言われたくない…」という感情も手伝って、返って素直に習慣を変えられなくなってしまったという事例もあると思います。
そういった意味でも、家族も含め健康になってもらいたいという気持ちが伝わるための第一歩は、「自らの健康」なのかも知れません。
もうひとつは、「自分のなりたい健康の姿」を積極的に共有することです。なぜなら、ゴールがなければ、いまのところから動くことが出来ないからです。当然、人は一人では生きていけないということからしても、そのゴールに向かって頼り頼られる関係は大切な要素のひとつであると思います。
最後は、「自分のなりたい健康の姿」というゴールに向けての羅針盤をとなる学びを続けることだと思います。科学の進歩といわれる中、かつてのガリレオの唱えた地動説のようなことが様々な分野で起こっていても不思議ではありません。
以前、「シリーズ人体」という特集番組で、ノーベル賞を受賞した山中伸也教授が、「私たちが、医学部で学んだことは何だったんだ…」という言葉があったくらい、新しい知見が次々に出てきているのが、私たちの身体に関係する情報を取り巻く環境の現実は変化してきています。
当然、「新しい知見の方が正しい」ということばかりでは無い可能性もありますので、慎重さは必要です。
だからそ、自分自身のためにも様々な情報を踏まえて総合的に判断するというチカラがますます必要になってくると思います。
「病気になりにくい身体…」にしていくための習慣、この考え方は近年注目されつつある予防医学の考え方そのものです。健康という言葉のとらえかたを先ほどの「健康の定義」のように広く考え直せば、周りの人が元気になれば、自分も元気になれるということにも通じます。
「健康になりたい」と「健康でいて欲しい」は実は同じなのかも知れません。
そう考えれば、健康になりたい… とは、「相手を想い学び続ける」、そして予防医学に通じる習慣の積み重ねですね。