2019年12月22日
自然界でのプロバイオティクス健康法

プロバイオティクスと呼ばれる身体にとって良い働きをする微生物を積極的に行うということは、近年、健康法の一つとして見直されています。
また、乳酸菌を含んだ飲料や食品を積極的に摂ることや、プレバイオティクスといわれるような、よい菌を摂取だけでなく、有用菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維が注目されていることもお腹の健康を整えるための有効な方法を多くの人たちの関心を寄せています。
ところで、プロバイオティクスを積極的に摂りこむような方法はヒトだけなのでしょうか・・・?
生物の世界では「食糞」という言葉あるそうですが、この食糞とはまさにウンチを食べるということです。
正確に云いますと、ウンチの中にある他の個体の微生物をもらうという行為になるわけです。
ある意味有名なのが、ウサギなどのげっ歯類ですが植物を中心に食べるこの種の動物たちにはある種重要な意味があるそうです。
植物の細胞に閉じ込められている栄養分を腸内細菌に分解させ糞として出し、もう一度食べることでより効率的に必要なエネルギーを確保するそうです。
実際に、ラットなどでは、食糞をした場合としない場合とで、成長の度合いに25%の違いが出ることが解ってるそうです。
また、象の場合は、群れを率いているメスが軟便を出すことがあるそうですが、これを群れにいる幼い象に食べさせるのだそうです。
このような行為は、チンパンジーにも見られますが、チンパンジーの場合はもっと治療的な性格の強い食糞行動が見られます。
イギリスの動物学者ジェーン・グドール氏によれば、熟したばかりの果実を満腹まで食べたときに下痢を起こすことがあるそうですが、そのような時には健康なチンパンジーのウンチを食べるという行動に出るのだそうです。
動物園で見られる行動なのだそうだが、チンパンジーに繊維質の葉をエサとして与えると下痢を起こした時の食糞行動が減少するという事があります。
この場合にチンパンジーは葉を食べているのではなく、しゃぶったり、舌の下にしまいこむという行動が見られるのですが、この行動は葉そのものを摂りんでいるのではなく、葉についている共生菌や酵素を経験的に取り込んでいる可能性があると考えてられています。
ヒトの場合でも、地域によって食習慣が異なり、ある地域では普通に食べられているものが他の地域の人が食べると消化不良を起こしてしまうと言われている食品がありますが、この食品が、日本を含めた東アジアでよく食べられている海苔を代表とする海藻類です。
もちろん、現在では日本食の普及により世界中の多くの人が、海苔を食べても大丈夫になってきましたが、これも海苔という食品を通して、海藻類を分解してヒトに有効に働くことのできる腸内細菌も一緒に普及したと考えられています。
また、精神科の世界では知られていることのようなのですが、一部の重症の自閉児や総合失調症の患者に便を食べたり、なすりつけたりする行動に強い興味を示す行動に徴候があるそうなのです。
こうして考えると、多くの生き物は本能的なのかは解りませんが、自分にとって必要な腸内微生物を何らかの形で取り込むようにプログラミングされているのかも知れないというようなことも考えられます。
近年、ヒトを含めた多くの生物としての宿主は、腸内細菌をはじめとする共生微生物の乗り物であり、ある種の支配を受けているというような考えたの研究者も出てきているようですが、共生微生物の重要性も含めてあながち「とんでもないこと・・・」というように片づけられないことなのかもしれません。