2020年01月10日
お肌の不調とお腹の健康

便秘などのお腹の調子が良くない状態の時に、お肌のコンディションに対して影響が出るということは比較的多くの方が経験してる事かと思います。
特に、便秘などは女性に多い症状の一つともいわれていますので、男性と比較して肌のコンディションに対しての意識の違いも含めて、女性にとっては気になる事のひとつなのかもしれません。
便秘による肌の不調の原因についての多くは腸内腐敗といわれており、お腹の中のいわゆる悪玉菌が増えてしまい、有害物質やガスなどを代謝し、それを腸管から吸収してしまうことにより全身に循環してしまうからだと考えられていました。
しかし、近年の研究ではこのような悪循環は単純に「有害物質が身体中をめぐる・・・」ということだけではなく、免疫システムの異常とその異常によってもたらされる炎症が関わっているという可能性について多くの研究者が関心を集め始めています。
以前から、肌にみられる結節性紅斑については炎症性腸疾患によっておこる皮膚の症状としてよく知られています。
このような腸の疾患の原因として腸内細菌のディスバイオーシスと呼ばれる腸内細菌叢の多様性の欠如や、特定の有害菌の増大などの異常な状態が関与していることもよく言われている事のひとつとして理解されています。
また、乾癬やアトピー性皮膚炎といわれる皮膚の疾患もよくしられていますが、これらの症状は免疫システムに異常をきたしやすい状態の時に感染症やストレス、食生活などの外的な因子が加ったり、糖尿病や高脂血症などの内的な因子によって発症するとかんがえられており、いずれも自己免疫反応による炎症といわれています。
これらの症状は、慢性的な痛みやかゆみに悩まされることが多くQOLに対して大きな影響を与えることでも知られています。
この乾癬という症状について、近年、炎症性腸疾患との合併症の事例が多く存在することが解り始めてきました。
慶応大学医学部消化器内科の金井隆典教授によりますと、結節性紅斑の場合は、同じ炎症性腸疾患でも腸の疾患が先に発症したのちに皮膚の症状が出るという特徴があるのに対して、乾癬の場合には皮膚の症状が先に出て、そののちに炎症性の腸疾患がみられるという異なった関係性がみられるというのです。
実際にマウスの実験では、皮膚炎の無いマウスに対して、人為的に皮膚炎を起こしたマウスに比べると、腸炎の症状が強く出るということもわかり、皮膚の炎症が腸内細菌叢のディスバイオーシスを引き起こす可能性が示唆されました。
金井教授によれば、免疫システムをつかさどるB細胞の低下が顕著であることも含めて、皮膚の炎症などが免疫システムを通じて、腸管内の乱れとしての腸内細菌叢の攪乱を誘引しているとしています。
近年の研究では、皮膚からの様々な刺激としてのシグナルによって、アナフィラキシーへの関与を示すような報告もあり、皮膚の神経ネットワークが免疫システムなどを通じて腸管と含めた腸内細菌叢に影響を及ぼしている可能性が出てきています。
先ほども言いましたように、乾燥やストレスなど皮膚に対する様々な刺激が、お腹の健康にも影響を及ぼしている可能性があるとすれば、単なる美容のためだけでなく身体的健康のためにもお肌に関心を持つことが必要なのかもしれません。
Posted by toyohiko at 14:59│Comments(0)
│身体のしくみ