2020年01月25日
海洋中のマイクロプラスチックを減らすためにできる事を考える

現在、SDGsを始め環境問題について多くの人達がの感心を集めています。とりわけ、プラスチックの問題はその中でも最も重要な課題として考えている方も多いのではないかと思います。
環境に関する課題は様々です。CO2などを始めとする温室効果ガス、大気や水質、土壌などの汚染、生物多様性の確保、更には、森林資源の減少による砂漠化などどれをとっても重要であり、決してそこに優劣をつけるような課題では無く、持続可能な社会を築くという共通な目的の上にたったものです。
その一方で、最新の科学技術は私たちにとって様々な恩恵をもたらしてくれています。
プラスチックもその一つです。
かつては、流通している食品容器の多くはガラス製の瓶でした。とりわけ、飲料等の液体状のものは容器の防水性は必須条件です。しかし、プラスチックの容器か゜出てきたことで多くのイノベーションがもたらされました。
働き手にという視点で考えれば、瓶の回収・洗浄という工程が無なり、ワンウェイという形になったことで業務にかかわる肉体的負荷が大きく軽減されました。もちろん、瓶とプラスチック容器との重量の違いによってもたらされる効果として働き手にとって大きな改善要因になっていることも事実です。
一方、物流面から考えると、重量と比例して物流の負荷は上がります。また、輸送上の面からみても、現在のプラスチック容器のほとんどのものは直接の多段積載が可能になっていますが、瓶の場合には専用のケースに入れないと上に積み上げることはできませんので、さらに重量があがってしまいます。
製造工程という視点で見れば、ご存知の方も多いかと思いますが製品を出荷する工場で、容器も成型してるところがほとんどです。これも、他のところで容器をつくると容器の中身の空気を運ぶことになってしまいますので、物流効率上のことを考慮した上でのことです。
このように、ガラス瓶とプラスチック容器との違いの考えても、輸送時にかかるCO2の問題や業務の負担など様々なメリット・デメリットの中で取捨選択をしてることが解ります。
現在では、紙やバイオプラスチックなど微生物などで生分解できる素材を利用してという方向で、さらに良い形にしていこうという流れになっています。しかし、スピードをもって変化しているという状況ではありません。
その大きな原因は、コストの増大です。これは、これからの技術革新によって様々な課題解決に向かってくると思いますが、少し時間がかかるかもしれません。
例えば、紙という視点で考えれば古紙の不足です。スマートフォンの普及によるものかどうかはわかりませんが、古紙の主たる供給源であった新聞紙が無くなってきたというのが実情のようです。
だからといって、世界中でこれだけ普及しているプラスチック容器を紙容器に変更していくことがバージンパルプを確保するための森林伐採という事になれば、環境への影響は避けがたい新たな問題として浮き上がってくるかもしれません。
近年、注目を集めている生分解プラスチックという選択肢がコストという面を除けば現在では最善の選択かもしれませんが、事業者にとってはコストというのは、一番の壁であるという現実を考えれば時間がかかるといわざるを得ません。
現在の、プラスチックの環境へのマイナスの影響の最も大きな課題は、「プラスチックが環境中に流出すること」です。河川や海洋中に流出したプラスチックが様々な生態系に影響を及ぼしたり、体内に残留することでひいては人間の体内にも影響が出てくる可能性が示唆されていることです。
従って、「プラスチックが環境中に流出しない・・・」という状況をいかにつくるか、という事であれば多くの方たちが、自分たちの出来る範囲で出来ることは沢山あるはずです。
海洋中に流出しているプラスチックで一番多いのは、化学繊維の細かい繊維片だそうで,イギリスでの研究によると全体の35%ほどに上るそうです。しかも、各家庭からの洗濯機からの排水によるものが多いといわれています。各家庭からの洗濯機からの排水に含まれる繊維片という事であれば、出来るだけ天然繊維の着用を心がけるなど出来ることはあると思います。
その中でも、一番心がけていきたいのは、いわゆる「ポイ捨て・・・」を無くすことです。
海洋中のプラスチックとはいえ、直接海に投棄されたものはほとんどありません。日常生活の中で、捨てられたものが河川に辿り着き、そこから海に辿り着くという図式は容易に想像がつきます。実際に河川の清掃などを行っていますと、目立つのはレジ袋といわれるもののビニール片です。河川敷や河川内の葦などの植物にへばりついているのをよく見かけます。また、近年目立つゴミとして多くなってきたのが、使い捨てのマスクです。
これらの共通点は、本来処理されるべき方法で処理されていないという事です。意図して「ポイ捨て・・・」をしている人は少ないかもしれませんが、「落として、そのままにしておく・・・」ということであっても、結果として同じ状況を招くという事です。
数ある環境保全活動の中で、「ごみ拾い」というものがありますが、「ごみ拾い」の一番の効果は、拾った経験をすることで、捨てない人をつくっていくという事だと思っています。
様々な、イノベーションを待ちながら、自分が今すぐにでも出来ることはまだまだあると思います。