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2020年10月02日

便秘・下痢と感染症との関係を考える

便秘・下痢と感染症との関係を考える


 便秘と言えば、「便通が思った通りに無いこと・・・」など様々なイメージがあると思いますが、この「便秘と感染症との関係」といわれてもあまり結びつかない方が多いのが、現状なのかもしれません。

 今回は、この二つのキーワードについて考えてみたいと思います。

 この二つの共通点は、「腸」です。

便はお腹のお便りといわれるほど腸管内のコンディションを簡単に可視化できる大切な存在です。その理由としては、便の内容物の殆どが食べもののカスでは無く、剥がれ落ちた腸管内の古い細胞であったり、腸内細菌であることからもわかると思います。
更には、便の色は胆汁に含まれるビルビリンが腸管内のPH値によって変化するために、便そのものが一種のリトマス試験紙のような役割をしていることにもあります。

 感染症という事になりますと、多くの生き物に備わっています免疫ステムによって防御されているのですが、腸管は「内なる外」といわれるような構造になっている事からも含めて、免疫システム全体の6~7割が集中してるといわれていますので、当然のことながらお腹の調子というものが、外敵によって影響を受けることで便秘や下痢の症状につながるという事になります。

 これらの共通点から何となく、「お腹の調子を整えること」と「感染症の予防」についての関かりがイメージできるかと思いますが、今回は、ベトナム保健省国立栄養研究所と日本のメーカーとが行いました、乳幼児を対象とした1,000人規模の飲用試験の結果がありますのでご紹介させていただきます。

 この実験はベトナム国内の幼稚園児1,003名をL.カゼイ・シロタ株(YIT9029)の生菌65億個を含む乳製品を飲用する510名のグループと、プラセボ飲料を飲用する493名の二つのグループに分けて、12週間の飲用結果とその後についての調査を行いました。

 調査内容としましては、便秘・下痢などの排便の症状とARI(急性呼吸器感染症)と呼ばれる、ウィルス、細菌、マイコプラズマ、クラミジア等、多種類の病原性微生物によって引き起こされる風邪の症状に代表される上気道炎、急性中耳炎、咽頭炎、クループ、気管支炎、肺炎などの発症の状況を追跡調査しました。

 特に、ARIにつきましては、ベトナム国内で幼児の死亡原因の1割から2割に上っており、その予防については大きな課題の一つと考えられています。

 12週間の調査の結果、便秘の発生率については、飲用後12週間で飲用グループ12%に対して、非飲用グループ32%と優位に差が出てきたと同時に、下痢の発生率についても12週目の結果が飲用グループ4.9%に対して、非飲用グループが7.9%、飲用終了後4週間の16週目についても4.1%に対して8.1%と約二倍の有意差がみられました。

 また、ARIの発症率についても8週間を経過した頃から双方の差が表れ始め、飲用終了後の12週間目には、飲用グループ15.9%に対して、非飲用グループが24.5%という結果となり、飲用終了後4週間後の16週目には飲用グループ13.1%に対して、非飲用グループが25.4%と便秘や下痢の場合と同様に約2倍の有意差という結果になりました。
 
 この調査研究を行いましたヤクルト中央研究所の石川文保所長によりますと、L.カゼイ・シロタ株(YIT9029)の継続摂取により、身体の抵抗性を高めARIのリスク軽減につながったとし、今回行われたベトナムでの1,000名規模での結果というものが、今までのL.カゼイ・シロタ株(YIT9029)の健康効果に対する有用性をより確かなものにすることが出来たのでは・・・と述べています。

 L.カゼイ・シロタ株(YIT9029)を利用した飲料については、ベトナム国内におけるヘルスクレームでは、日本国内での整腸効果のみではなく、免疫についての許可表示を行っています。
 
 免疫についての許可表示はベトナムのみではなく、インド、ミャンマー、台湾においても行われており、台湾については、アレルギー分野での許可表示も行っています。

 今回の、便秘・下痢の整腸作用と感染症の発症率という複数の症状の同時的な調査研究は、腸管を中心とした健康に関わる様々な仕組みの解明と、私たちの健康の維持増進に対する大きな可能性を示したことにつながるといえるのではないかと思います。





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Posted by toyohiko at 17:26│Comments(0)身体のしくみ
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