2020年11月20日
不安やストレスと社会を考える

筑波大学で行われました全国調査によりますと新型コロナウィルスでストレスを感じたという人の割合が「とても感じた」という方が38.8%、「少し感じた」という方も含めると、全体の80.6%と全体の8割以上の方がストレスを感じたという結果が出てきています。
慶応義塾大学 三村將教授によりますと2011年の東日本大震災と時と似ている。特に原子力発電所の事故に伴う放射能という「目に見えない・・・」、「終わりが見えない・・・」という状況と非常に似ていると述べています。
そのような中、実際に適応障害、不安症、うつ病、引きこもり、依存症などの症状を訴える人たちの増加傾向が見られたり、ライフスタイルの変化に伴い、主人在宅ストレス症候群のような事例も増え、DVや児童相談所への相談件数の増加などの様々な生活していく上での課題が、日本のみならず世界中で顕在化してきていると言われています。
三村將教授には感染症には三つの感染症があるとしています。
まずは、細菌やウィルスが引き起こす症状そのものを示す「生物学的感染症」です。
問題はこの症状が引き起こす様々な社会的影響を考えなくてはならないという事です。
これが、「自分がうつったらどうしよう・・・」という事だけではなく、「うつしたらどうしよう・・・」という不安や恐怖が「人から人へ」感染していく「心理的感染症」と言われるものです。
これは、情報に惑わされるとか、他者に対して疑心暗鬼になるという事とも関係しているのかもしれません。
昨今、日本で改めて注目されている「同調圧力」という言葉にも全く関係が無いとは言い切れないと思います。この同調圧力に関しては、第二次世界大戦中のナチスのユダヤ人に対する迫害をきっかけに、その心理状態についての研究がなされ始めたとされています。
その当時の実験では、被験者の回答に対して周りの人が違う答えを導き出した場合に、明らかに間違っていると解っているようなものでも周りの答えと合わせてしまうという確率が4分の3であるという結果もあるそうです。
「心理的感染症」によって引き起こされてしまうのが「社会的感染症」と言われるもので、この不安や疑心暗鬼という心理状態を他者に対する態度や姿勢として表してしまうことです。これが、「嫌悪」や「偏見」という形になり、今まで築いてきた人間関係や信頼関係を崩壊させてしまうのです。
この「三つの感性症」と言われる要素の悪循環が引き起こさないようにしていることが、娯楽、そして旅行やレジャーなどの形でのストレスリリースだったのですが、昨今の状況下では、それもままならない・・・というストレス解消法が制限されているという現状もあります。
とはいっても、いったいどうすれば良いの・・・? という事なのだと思いますが、三村將教授は「暮らしを振り返るチェックシート」の項目の実践を丁寧に進めてみることを提案しています。その具体的内容が次の8つになります。
バランスの良い食事をしていますか
睡眠時間は十分ですか
家族や友人に連絡をとっていますか
散歩をしていますか
自然に触れる機会はありましたか
音楽を聴きましたか
お風呂にゆっくりつかりましたか
読書をしましたか
これは、代表的なストレス対処法になりますのでこれを参考にして、生活に取り入れることが有効としています。また、この中には活性化につながる項目と鎮静化につながる項目がありますので、「家族・友人に連絡、散歩、音楽を聴く、読書、料理」というような活性化の項目と、「星を見る、入浴、好きな香りを嗅ぐ、マッサージ、自分をほめる」などの鎮静化の項目とのバランスも重視することが大切としています。
確かに、生活や仕事の変化が大きく、自宅で過ごす時間が増えたという人も多いと思います。その影響として、「通勤のために早起きしなくて良い・・・」というメリットの一方で、「生活のリズムが乱れて、夜更かしが増えた・・・」というような不眠症やリズム障害の人が増えてきたとも言われています。
また、「子どもとの時間が取れるようになってうれしい・・・」という一方で、家庭内での役割をあまりにも担ってこなかったという結果として、主人在宅ストレス症候群の副作用のような「居心地が悪い・・・」「居場所が無い・・・」というような話もあるそうです。
このようなケースは、職場でも家庭でも同じで、一定の役割を担い、同じチームの一員として貢献できるように出来ることから始めることが、「居心地の悪さ」から脱却できる方法のひとつかもしれません。
社会的に「自己管理を求められる・・・」いま、完璧を求めると苦しくなってしまいます。
「出来ることを少しずつ」というような発想の転換をし、オールオアナッシングの考え方から抜け出すことが一番大切なのかもしれません。
Posted by toyohiko at 11:06│Comments(0)
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