2020年12月30日
「ストレスと上手に付き合う・・・」を考える

新型コロナウィルス感染症が健康に与える影響もさることながら、社会に与える影響という意味でも非常に大きいと言わざるを得なかった年でもあります。
「人に迷惑をかけるな・・・という呪い」という表現を使い、自分とは違う他者について想像しない人の存在を、実感することの多さと、自分と違う他者をあえて「想像しない」という無意識の選択を多くの人たちがしているのでは・・・と語った、健康社会学者の河合薫氏の表現は象徴的だったのかもしれません。
特に「「できない」のではない、「しない」のだ。・・・」というフレーズに社会の大きな課題が見え隠れしているような気がします。
また、横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンターの山本晴義センター長は、「職場のストレス」とか「家庭内のストレス」というように、限定的な関係性や環境によるものであれば、「逃げ場」というものがあるのですが、今回のような世界中のありとあらゆるところに広がっている感染症との対峙という事になると、まさに「逃げ場がない・・・」という状況にあることが一番の課題であるとしています。
当然のことながら、解消できないストレスというものは心身や行動そのものに様々な問題を引き起こしてしまいます。
不快な状況に対して、心理的反応と身体的反応が現れ、それらを解消するために行動的な反応が現れるというように、様々な反応は相互に関係しあっています。
不安やイライラ・・・というような心理的な反応が、身体的な反応として自律神経のバランスが乱れ、目の疲れや、首や肩の凝り・・・というような症状として表れます。
さらに、過度の飲酒、喫煙、過食、暴言などの行動的反応につながっていくということになります。
山本晴義氏は、ストレスが慢性化することによって以下のような特徴的な症状が現れるので注意が必要だとしています。
何かすると、すぐに疲れる
お腹が張ったり傷んだり、下痢や便秘によくなる
よく風邪を引くし、なかなか治らない
好きなものなのにあまり食べる気がしない
口の中が荒れたり、ただれたりすることがよくある
舌が白くなる
この頃、体重が減った
深夜に目覚めた後、なかなか寝付けない
少しのことで、腹が立ったりイライラしそうになる
人と会うのが億劫になった
仕事をする気が起こらない
このような、状況が2週間以上続く場合には注意が必要ですし、「何となく不調を・・・」という状況においても心身から「ストレスが溜まらないように気を付けて!」という注意信号が発信されていると考えることが必要だそうです。
このような、兆候は人それぞれの異なるようなので自身のストレス発現の特徴を知っておくことが、具体的な対処方法につなげるためにも重要です。
山本氏は、ストレス解消10ヶ条として以下のことを実践しているそうです。
S Sports(運動)
T Travel(旅行)
R Rest(休養)とRecreation(遊び)
E Eating(食事)
S Speaking(会話やおしゃべり)とSinging(歌を唄う、カラオケ)
S Sleeping(睡眠)、Smile(笑い)、Sake(適度のお酒)
しかしながら、感染症予防の中でいくつかの項目で実践が難しいものもあることも事実です。
今回の状況で特徴的なことは、「今までのストレス解消法が出来ない!!」ということにもあると思いますが、「その中でも、出来ることを、楽しみましょう・・・」というように、新たな工夫にチャレンジすることそのものを楽しんでいく事も大切だとしています。
ストレス反応にたいして、最も大切なことは自律神経を整えることだと言われていますが、その中でももっとも有効なアプローチは「睡眠」だそうです。
睡眠については、「早寝、早起き・・・」と一般的に言われていますが、この順序では良い改善は望めないそうです。「まずは早起き・・・、そうすれば自然に眠くなる」という視点で考えれば、「早起き、早寝・・・」が効果的だという事も理解できます。
ストレスを感じている人も、そうでない人も、このストレス解消10ヶ条の中で出来ること・・・を探して実践してみませんか。