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2021年06月19日

ストレスの仕組みを知れば、上手に付き合っていけるのか・・・?

ストレスの仕組みを知れば、上手に付き合っていけるのか・・・?



 ストレスが身体に与える影響というものは様々です。その中でも健康に対するマイナスの影響は多くの人が理解しているとともに、大きな悩みの一つです。脳腸相関で注目されてきていますストレスと腸内環境との関係にしても腸内環境を良好にすることでストレス緩和につながるという一方で、ストレスが腸内環境に大きなマイナスのインパクトを与えることも解ってきています。

 その一方で、レジリエンス(折れない心)という言葉があるように、「世の中には目の前の困難を乗り越えるということが必要なことは沢山ある。」という事も現実の問題としてあります。

 モチベーションの議論をするときに、「楽しむ」ことの必要性を訴える方も多いかと思いますが、現実には「楽な事」も「困難な事」も両方ありますので、ストレスが多くかかると予測される「困難な事」に対して、いかに「楽しむ」という姿勢を続けられるかということは、多くの人にとって重要な課題のひとつです。

 もちろん、自身の中での「失敗」という言葉のとらえ方も大切ですが、ここで、ストレスの仕組みに着目することで「楽しむ」方法を考えていきたいと思います。

青砥瑞人氏の著書「BRAIN DRIVEN」によりますと、「人間の脳は、ストレスによってパフォーマンスが下がることがある一方、パフォーマンスが上がることもある」としています。

 つまり、あらゆるストレス反応は人間が生命活動を維持していく上で重要な仕組みとして備わっているという事なのです。

 いうまでもなく、ストレスに対する反応は人によって異なります。しかしながら、ストレス反応をしている最中に、その違いを認識しているでしょうか。

 ストレス反応の違いは、ストレスホルモンを受容する受容体が発現する頻度によるものだったり、生活環境などに起因する後天的なもの、さらには遺伝的なものなど様々であるように、一人ひとり感じ方が異なります。
だからこそ、自分自身のストレス反応を俯瞰的に捉えることが、より高いパフォーマンスにつなげたり、他者とのコミュニケーションを円滑に行うための有効な武器になると考えられているのです。

 先ほども言いましたように、ストレスは生命活動を維持していくための重要な仕組みと述べましたが、具体的に3つの役割があるとされています。

 1つ目は、目の前の情報が自分自身にとって危険であるかどうかを判断する役割です。例えば、見知らぬ人が凶器らしきものをもって表れた時に、危険を感じることで生存率を高めるというようなことです。

 2番目は、記憶力を高める役割です。これは、次に同じような情報がきた場面に備え、推測機能によってより高い反応速度を得るためと考えられています。つまり、ぼーっとした学習の状態よりも、一定の目的やプレッシャーがあるときの方が、記憶定着率が高くなるとされています。

 3番目は、「直観力」と言われるような感覚的かつ、情動的なものです。これは、感覚的に脳が知らせてくれる違和感になりますので、いわゆるモヤモヤ感ということになるのですが、その感覚によって「やめておこう・・・」というような、直感的な基準をもとに瞬時に判断することが出来るというのです。

 この3つの役割は、危険回避という意味では非常に有効な役割を果たしているとともに、これらの能力の積み重ねによって私たちは生存確率を高めてきましたので、全く無いとなると困る・・・という能力ともいえます。

 ストレス反応は個人によって異なるという事に加え、様々な役割があることを理解した上で重要なことは、自身のストレス反応を認識することだそうです。

 例えば、「ストレスが無いと言い続けている人の方が、うつ病になりやすい傾向がある・・・」というような事も言われています。つまり、自身のストレスに気付くことが出来れば、リフレッシュするための行動がとれるかもしれませんし、誰かに相談することもできるかもしれません。

 何よりも、ストレスを自覚することで恒常性といわれる、元の状態に戻そうとするチカラにうまくつなぐことが出来るというのです。

 もちろん、人によってストレス反応も様々なので、なかなか認知することは難しいかもしれませんが、反応に対するシグナルは、「気分・・・」だけでなく、発汗や皮膚の状態、呼吸・・・さらには、排便の状況など様々なところに現れるということを知っておくことも、「気付く・・・」ことの第一歩になるのかもしれません。

 また、ストレス反応を起こしている状態とその反応に気付くことは、脳の違う部分のはたらきになっているために、成功体験のプロセスに潜む、失敗やストレス体験を結び付けて同時に学習することが、ストレスに対する耐性には有効なのだそうです。

 つまり、「何となくわからないけど成功した・・・」、「何かわからないうちに失敗に終わってしまった・・・」というように、それぞれを「別のものとしての体験」として認知してしまうことは、ネガティブな状況にも強く立ち向かえる脳の状態への育みにはつながらないというのです。

 ストレスは、「闘争か逃走か・・・」を見分ける重要なセンサーであるとともに、うまく付き合っていく事で「失敗をうまく成功に導くための道しるべ・・・」というように考えることもできるのかもしれません。





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