2021年07月31日
アイディアはどのようにして出てくるのか・・・?

SDGsの重要性が様々なところで議論されている中で、「幸せ」に関する価値観の変革が起きています。従来のモノや社会的地位などを獲得することで「幸せ」を得るというような一義的な考え方から、身近な自然との関わりや、社会的な課題の解決などこれからの持続可能性に関しての多様な関わり方を認め、それぞれが求める「選択肢の多さ・・・」に移りつつあるというような、大きなパラダイムシフトが起きています。
社会生活をしていく中で、日常生活に潤いや、励みなど様々な幸せに繋がるような選択肢は、「与えられたものの中から選ぶ・・・」というような事で満たすことが出来るのでしょうか。
自らの好奇心や、その好奇心を形にするプロセスこそ「幸せ」の形そのものであるとしたならば、その好奇心を実現していくためのアイディアは「幸せ」にとって非常に大切なファクターの一つと考えることが出来るのかもしれません。
その一方で、日常の生活の中で「アイディア」と言われる、課題解決のためのツールは常に使っていますし、常に求められています。
しかしながら、「アイディアがなかなか出ない・・・」という悩みを抱えてしまうケースも少なからずあると思います。
青砥瑞人氏の著書「BRAIN DRIVEN」によりますと、アイディアと言われるような創造的な発想について、右脳とか左脳という話を耳にしますが、実は右脳も左脳も両方使われる事が多いので、機能分担についてよりも外界的な情報に対して注意も向けていない状態であるとされています。
イメージ的には、目が開いていても見ているようで見ていない状態・・・なのだと言います。「新しいアイディアを発想するときは、目をつぶると良い・・・」というような事も言われたりしますが、あながち間違いではなさそうです。
そもそも、脳の働きからすると創造的なものに対しては、非常に複雑な動きをしているだけでなく、抽象的で捉えどころがないことから、先天的なものと考えられてきました。
しかしながら、複雑な脳機能を偶発的に活用し続けることが出来た人が、偶発的に高い創造力を発揮することが出来るようになったという、後天的な要因によるものと考えられています。
ストレスについても同様の事が言えますが、脳は新しいものに対する反応と、新しくないものに対する反応が異なります。
景色や芸術作品でも、その人にとっていきなり「奇麗だ・・・」とか、「感動する・・・」というような事ではなく、一定の学習プロセスを経たうえで、そのように感じるように脳が育まれることで初めてそのように感じるのだそうです。
これは、創造する側と評価する側でも同じようなプロセスが必要であるという事も覚えておく必要があります。つまり、自分が感じているから相手も感じているとは限らない・・・という事です。この時大切なのは創造力を育むには脳に一定の学習が必要なので、周りの評価に関わらず、自分にとって新しく価値のある情報や刺激を脳内で生み出すプロセスを繰り返し行っていく事を意識することです。
ともあれ、モチベーションと他者からの評価は、大きく関わりがありますので、ネガティブなフィードバックを受けてしまう可能性も多くなってしまいます。だからこそ、自分にとっての新しさと他者からの評価を分けて考えることが重要になってくるのです。
ストレスの時もそうでしたが、創造性と心理的安全性は非常に重要な関わりがあることも忘れてはなりません。
アイディアを出していくために必要なもう一つの事は、物事に対して熱中することとされています。これは、熱中しているから…アイディアが出るという事ではなく、新しいアイディアが出るときの脳の活動の起点がデフォルトモードネット―ワークと言われる、外見的には「ぼーっとして何も考えてなさそうな状態」にあるという事が判ってきています。熱中することで強い記憶となり脳に残りますので、思いもかけないデフォルトモードネットワークの状態の時に「閃き・・・」としてフィードバックされる可能性も高くなるからだそうです。
そのためには、しっかりとした記憶の足跡と同時に、息抜きしたり睡眠も有効だったりするのです。
良いアイディアほど、思いもしないタイミングで思いつくという経験がある方もいるかと思いますが、これも脳の働きからすれば理解できる当然の結果なのかもしれません。
行き詰まった時こそ、オンオフの切り替えをうまく利用してみてはいかがでしょうか。