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2021年12月03日

アウトドアライフと蜂の攻撃

アウトドアライフと蜂の攻撃


 新型コロナウィルス感染症の影響が様々なライフスタイルに変化を及ぼしています。その一つが、キャンプやハイキングなどを中心としたアウトドアの人気です。

 感染防止のために、風通しが良く・・・人と人との距離が保つことができ、自然と触れることで、日頃のストレスのリリースにもつながるという意味も含めて、人気の理由がよくわかるような気がします。

 その一方で、大自然の中・・・という事もあり様々な生き物からの脅威があることも事実です。特に注意が必要なのが蛇と蜂です。

 そもそも、蛇や蜂の攻撃は自身の身や巣を含めた子孫を守るためとされています。これらの生物にとっては多くの哺乳類は捕食者としての天敵と認識します。

 特に、蜂の巣は巣の中の蛹や幼虫を含めて、捕食者にとっては格好の栄養源です。このような獲物と捕食者という関係は人類史上の中で長い間続いた関係であるとすれば、多くの哺乳類に対して、攻撃的な兆候がみられることで攻撃的になるのは、ある意味、命をつないでいくために遺伝子にプログラミングされた機能と言っても過言ではありません。

 この哺乳類の中には、当然人間も入ります。

 人間の世界でも、「闘争か、逃走か・・・」という言葉があるように、巣を刺激したり、樹液が沢山あるような餌場をかく乱するような事が無ければ、蜂の方から攻撃してくることは稀であるといわれています。

 万が一、蛇や蜂に出くわした時には、「そっとその場から立ち去る・・・」のが原則です。
決して、騒いだり・・・、棒を振り回す・・・などをして刺激を与えない事が大切です。

 また、蜂の場合は特定の臭いに反応することがありますので、キャンプやハイキングの時に香水や整髪料、衣服の柔軟剤などの様々な成分の組み合わせが、運悪く蜂の「警報フェロモン」の組み合わせと合致してしまうと、蜂からすれば、攻撃をしなくても「敵が来たぞ・・・」というシグナルを受け取ったことになります。

 これは、スズメバチなどの毒液には、種類によって異なるアルコール、エステルなどの香気成分が含まれており、複数の物質が混ざり合ったときに敵とみなすための警報フェロモンとして検知するためだとされています。

 まずは、このような自然界の生き物の性質を理解し、身の危険から守ることが重要です。

 また、スズメバチのような大型の蜂に対して「蜂は、二度刺されると危ない・・・」という話を聞いたことがある方も多いかと思いますが、これは、蜂の毒液に様々なアレルギーを引き起こすための抗原が含まれているからです。

 獨協医科大学埼玉医療センター呼吸器・アレルギー内科の平田博国准教授によりますと、この抗原によって「特異的IgE抗体」というものがつくられるために、この抗体がある人が蜂に刺されると17~20%の人がハチ毒アレルギーを発症し、嘔吐、浮腫、呼吸困難などのアナフィラキシーショックを起こすといわれています。
 さらに、そのうちの数%の人が意識障害や急激な血圧降下などのショック状態に陥り、死に至る場合もあるそうです。

 ハチ毒アレルギーによるアナフィラキシーショックについては、刺されてからの発症までの時間が、10~15分と短くさらにアナフィラキシーショック発症から心停止までの時間も、わずか15分という研究報告もあるため注意が必要です。

 また、一度刺されたからと言って、「一生心配・・・」という訳ではないようで、現在の研究では、抗体ができてから5年~10年経過することで抗体価が低下しアレルギー症状が出づらくなっていることもだんだんわかってきており、2度目に刺されても重症化しにくいとも言われています。

 このハチ毒アレルギーによるアナフィラキシーショックの原因となる特異的IgE抗体については、1回目に蜂に刺されたときからつくられるまでに、早くて1~2週間で、おおよそ3~4週間くらいかかるとされています。
 身に覚えがあり心配な方は、抗体の検査も可能なようですが、刺されてから1か月以降に検査されると良いようです。

 この検査は、スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類の検査項目があり、平田准教授によると保険適用とのことなので、心配な方は確認しておくと良いかもしれません。更に、ハチ毒アレルギーと診断された方に対しては、エピペンなどのアドレナリン自己注射薬を携帯することも勧められているそうです。

 蜂は、人間にとっては危険な部分も多い生物ですが、その一方で、生態系の中では植物に対する食害をする昆虫を捕食することで、発生を抑えるなど生物多様性の保全の上では大変重要な益虫としての役割は大きいという事も忘れないようにしておかなければいけません。






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