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2021年12月24日

あらためてPDCAを考える

あらためてPDCAを考える


 PDCAと言えば、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のサイクルを繰り返し行い継続的な業務の改善をしていく手法として、1950年代に品質管理研究の第一人者であったアメリカの統計学者ウィリアム・エドワーズ・デミング博士とウォルター・シューハート博士によって提唱されたといわれています。また、企業などを始め多くの場面で取り入れられていますので、ご存知の方も多いかと思います。

 その一方で、70年にわたり様々な場面で取り入れられているのにも関わらず、「このPDCAサイクルを上手く回すことができない・・・」という悩みを持つ人も多いのではないでしょうか。

 特に多いのが、独りよがりになってしまい、PとDだけでグルグル回ってしまっているのにも関わらずなかなか気付けずに、悩みこんでしまったり、一人で抱え込んでしまうパターンです。前例踏襲で、毎回同じことを繰り返してしまうケースもこれに当たるのかもしれません。

 もともとPDCAサイクルは、セルフマネジメントの手法ともいわれていますので、自分自身が主体的に取り組んでいく事は大変重要な事ではありますが、自身が主体的に取り組むことと、自分だけですることでは大きく違います。

 まずは、Plan(計画)ですが、目的を明確にしたうえでの仮説の立て方が重要になってきます。そして、その仮説が目的となる課題解決につながっていることが前提になってきますので、どの仮説を優先するかという決断が結果を左右します。

ここで、立てた仮説が正しいかどうかは、むしろCAを経て2週目のPlan(計画)の見直しに必要なものになってきますので、Do(実行)については、「やってよかったね・・・」ではなく、あらかじめ、本来の目的に合わせた評価を設定しておく必要があります。

 ここまでの、プロセスについては自分だけでも出来てしまうケースもありますし、してしまいがちな方も多いと思います。

 しかし、ここからのCheck(評価)、Action(改善)となってきますと、なかなか勝手が違ってくると考えることが必要となってきます。

 その理由としては、自分で自分自身を検証したり、評価することは難しいからです。

 また、チームでの課題の解決には、チームのメンバーがその目的に対しての「共感」が重要になってきますし、ビジネスのシーンであれば顧客のニーズとのマッチングという極めて大切な視点が抜け落ちてしまうことは、大きなリスクに繋がってしまいます。

 従って、このCAサイクルこそ、「共感性の高いチーム」があってこそしっかりと機能するということになります。

 ここで、面白い実験があるので紹介します。ニューサウスウェールズ大学で組織行動学について研究しているウィル・フェルプス准教授が、性格が悪い攻撃的な人、ないしフリーライダーのようななまけ者、もしくは場を暗くする人。こういうタイプが入ったら、いいチームはどれだけ生産性を落とすのかを検証するという実験です。

 その結果、「相手に対して攻撃的になったり、反抗的な態度をとるなどをしてしまう・・・」「一生懸命に取り組まず、労力を出し惜しむような態度が見てとれる・・・」「「悪いあの人・・・」「可哀そうな私・・・」の話題が多く、ネガティブで愚痴や文句に聞こえる発言が多い・・・」というような三つのパターンを演じる人がチーム内に入ることで、これらのどのタイプの人がチーム内にいても、そのチームの生産性は30~40%低下してしまうという結果が得られたというのです。

 また、このようなことは、「どうでもいいような細かすぎる指摘・・・」や、権威者が、突然入り込んできて、言いたいことばかりを「ガーッ・・・」と言うような、攻撃的な人が一人入るようなケースでも、チームの生産性は低下するとも言われています。

 この生産性の低下の大きな要因は、「感情」です。

 多くの場合、自分が確信を持って発言している意見を否定されると、感情的になってしまって、建設的ではなく、対立構造を「自分の中で、勝手に創り上げてしまう」からだといわれています。

 このようなマイナスの感情が起きないようにするためには、特定の人だけではなく全員の意見を尊重することや、「これからどうするか・・・」というような未来志向の話題を中心に対話を重ねることで、チーム内での心理的安全性が高まり、安心するということが解ってきたといわれています。

 このようなお互いの関わりは、CAのプロセスの中で、チーム内での共感性を高め、「ジブンゴト」としての主体性を持つ人を増やすことや、次のPDに進んでいく上で「やって欲しいこと・・・」、「任せて欲しいこと・・・」をお互いに意思表示していくというような良い循環にもつながっていきます。

 PDCAサイクルは、チームで起こっている現状の課題解決のための手法である以上、チームとしての心理的安全性を高めチームワークを大切にしていく事は、欠かせない前提条件と考えないといけないのかもしれません。





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Posted by toyohiko at 09:11│Comments(0)社会を考える
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