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2022年03月18日

食品多様性という考え方

食品多様性という考え方


 バランスの良い食事というキーワードは、健康の維持増進の観点からも大切なことの一つと考えられています。

 FAO(国際連合食料農業機関)やWHO(世界保健機関)さらにユニセフなどでも、ここ数年「子どもには、多様な食品を食べる経験をさせること、すなわち食品多様性が重要である」というような具体的な指針を示すことが多くなってきています。

 国立保健医療科学院 生涯健康研究部上席主任研究官の石川みどり氏は、「子どもが食べてみようかなという機会をつくり、多様な食品を食べる経験をさせてみることで、子どもの潜在的な可能性を高めるために重要な事である。」と述べています。

 このようなことは、世界的な共通認識になりつつあり、このような経験が、将来自分自身で食事を選ぶようになった時に栄養バランスに気を付けて食べることにつながるというような仮説も出てきつつあるというのです。

 この多様な食品の摂取の経験をどのようにすれば積むことが出来るのでしょうか・・・?

 石川氏によりますと、このような経験には生活のリズムや周りの大人たちの立ち振る舞いが大きく影響すると説明しています。

 スクリーンタイムと呼ばれる、テレビ、ラジオ、ゲームなどの時間が2時間以上のケースでは、食品多様性のスコアが優位に低いという研究結果の報告があったり、食品多様性の低い日本の子どもは、ファストフードやインスタントラーメンを食べる人が多いとも言われています。

 このような結果に対する因果関係は明らかにはなっていませんが、これに関連するのが、規則正しい食事時間だそうです。
 実際に、周りの大人が規則正しい食事時間に気を付けている場合の食品多様性が高いという結果が得られているという事からしても、「食事は、決まった時間に規則正しく摂りましょう。」というような事に対して、食品多様性も含めて様々なプラスの効果があるという事になります。

 そして、さらに重要なのが親などの養育者を始めとした周りの大人の影響を大きく受けるという事を認識しておく必要があるという事です。

 大人自身が、「多様性のある食生活を示すことが出来ているか・・・。」も含めて、食事の量やおやつなどの間食時の工夫など様々な場面が、「食の経験」のひとつひとつとして積み重なっていくとされています。

 さらには、家庭内での日常の食生活のみならず、食品を取り扱うメーカーやスーパーなど食品を取り扱う小売店、飲食店、そして保育所など、食につながる様々な環境が子どもの栄養状態に影響を与えることを認識し、倫理的配慮を重ねていく必要があります。

 例えば、「野菜ジュースは、野菜の代わりになるか・・・?」という問いかけについても、見る角度によって違って見えてきます。食品表示に表されるような主要な栄養素だけで考えれば、「同じである。」という事が言えるのかもしれません。

 しかしながら、ジュースという製品にしてしまう過程で、酵素を含めた様々な微量元素や、ヒトにおける皮膚常在菌叢をはじめとする様々な共生微生物は、洗浄や殺菌などで排除されてしまいます。
 このような、微量元素や共生微生物がヒトにとって必要なものかどうかは未解明なところも多くありますが、現時点で「悪」と断定するに至っていないことも事実です。もし、これらがヒトにとって有益な働きをしているのであれば、「ジュースでは得られないモノがある・・・」という事になりますし、現時点で植物に付着してる酵素や酵母は、必要なものとして多くの場面で認知されていますのでなおさらです。

 その一方で、「毎日そんなに多くの種類の野菜を食べるのは無理・・・」という現実もあります。

 いずれにしても、どちらか一方というような〇か×か・・・ではなく、双方の良さを上手に使い分けることも、経験という意味でも、食品多様性の一つになると思います。

 食に関する様々な経験を積み重ねることが、将来の自身の食に関する選択の多様性につながり、自らの健康の維持増進につながるという考え方も、これからの重要な考えかたの一つになってくるのかもしれません。






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Posted by toyohiko at 16:54│Comments(0)食べ物を選ぶ
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