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2022年07月01日

「空気を読む」について考える

「空気を読む」について考える



 コミュニケーションの重要性については、近年様々なところで言われるようになってきましたが、このような傾向はいつごろからなのでしょうか。
 「昭和の時代・・・」や「飲みにケーション」というような従来型の人との関りが、変化しつつある中、近年「コミュニケーション重視」という事が言われすぎてしまったことで、「空気を読まなければいけない・・・」という雰囲気が際立ってきたという現状もあるような気がします。

 そのような中、HSP(Highly Sensitive Person:とても繊細な人)という言葉が最近注目されつつあります。このHSPは、アメリカの心理学者 1990年代後半にエレイン・アーロン博士が提唱した考え方で、ストレス社会といわれ、「生きづらさ・・・」が取りざたされているなか、改めて注目された言葉の一つです。

 精神科医の千葉大学大学院 清水栄司教授によると、そもそもHSPは病名や診断名ではなく、医学の世界では使われていないと言います。
 もともと心理学などの研究の世界で使われていたもので、近年では、5人に一人くらいの割合で、その傾向もしくは、「生きづらさ・・・」などの違和感を持っているとされています。

 その原因の一つとして、インターネットやSNSを中心とした情報過多の影響で、情報に対して過敏になっていることなどがあげられています。

 HSPの代表的な特徴として、「他人の気分」に左右されてしまうことです。他人の感情の変化に気付き、「自分のせいかも・・・」と考え込んでしまったり、事件、事故や災害などの報道を見聞きする度に、自分のこととしてしまうために、様々な情報によって気分が落ち込んでしまうことです。

 その場の空気や他人の心を読み過ぎてしまう方にとって、心を軽くする方法はあるのでしょうか・・・?

 空気を読み過ぎてしまう人の傾向として、「自分は他人の心を読める」と思い込んでしまうマインドリーディングと言われる認知のゆがみがあるとされています。
このような場合は、「他人の心は読めないし・・・、万が一当たった場合でも、偶然である」という感覚を持つことが大切とされています。

 これは「本来、判るはずのない他人の考えや感情を、判っていると誤解していることに気付く」ことで、そうした習慣が行き過ぎていることに対して少しずつ緩和していくという考え方です。
 他人の考えはわからないという前提に立ち、「勘違い・・・」と思えるだけで、気持ちが楽になるという感覚を大切にし、少しずつ認知のゆがみを修正していく事も出来るというのです。

 実際に、お互い「何を思ってるか・・・」を当て合う体験などを通じて、「案外、思い込みが多く、誤解している・・・」ことに気付くことでマインドリーディングの悪い癖を減らすこともできるようです。

 空気が読めることが大事とされる文化かもしれませんが、その一方で、勘違いでつらくなっている可能性も考えることが必要です。

 「つらくて、気分が乗らない」「面倒だ、・・・」「自分はダメだ・・・」といった否定的な言葉は、脳疲労のサインだそうです。脳疲労は、精神的なストレスがかかり更なる身体の変調につながってしまいます。

 「何を思っているかが解らない・・・」という前提にたって考えれば、お互いの自己開示も必要になってきます。

 とはいえ、「そんなこと言ったって、・・・聞けないよ・・・」という場合は、聞き流すチカラも大切にしてはいかがでしょうか。

 「ちょっとしたことが、気になって・・・」という感覚も、全体の約2割という意外に多くの人が持ち合わせている感覚という認知のもと、うまく操縦できるようになれば、感度の良いアンテナを自分の武器にすることが出来るかもしれませんよ。





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