2022年09月29日
身近な食品成分としてのカフェインについて考える

カフェインと言えばコーヒーやお茶など、身近な食品成分として馴染みの方も多く、子どもも含めて、多くの人が手軽に手にでき、場合によっては日常的に口にするものでもあります。
その一方で、「眠れなくなる・・・」「眠気覚ましに・・・」というような睡眠に関わる影響があるということも知られている成分でもあります。
つまり、このカフェインという成分は自然界の食品に普通に含まれている成分である一方で、身体に対する様々な影響も少なくないという性質も含め、その性質を正しく理解し、その効力を適切に享受することが、健康的に付き合っていく上で必要なものの一つでもあります。
実際に、厚生労働省のホームページでも「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてのQ&A」が紹介されていたり、農林水産省でも、「カフェインの過剰摂取について」の解説を案内をしているように、過剰摂取についての健康への影響を知っておく必要のある成分でもあるという事になります。
このように、カフェインについては公的機関からの注意喚起がなされているにも関わらず、「若年層を中心にエスプレッソドリンクやエナジードリンクがファッショナブルな飲み物として人気を集め、ガブ飲みされている現状を見ると、やはり充分な情報が浸透しているとは言い難い・・・。」という意見や、普通のソフトドリンクにカフェイン含有であるにも関わらず、半ば隠されているようなわかり難い表示で販売されているものも少なくない現状に関して、警鐘を鳴らしている方もいます。
カフェインは、神経を鎮静させる作用を持つアデノシンという物質と化学構造が似ているために、本来の受容体にアデノシンより先に結合してしまいます。そのため本来アデノシンが結合することで発揮する神経の鎮静作用が阻害されることで神経の興奮状態が続いてしまうという作用があります。
カフェインの過剰摂取により、中枢神経系が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠といような症状が起きることがあります。さらに、消化器管の刺激により下痢や吐き気、嘔吐するというようなこともあるという認識が必要です。
また、長期的には、人によってはカフェインの摂取によって高血圧リスクが高くなる可能性があること、妊婦が高濃度のカフェインを摂取した場合に、胎児の発育を阻害(低体重)する可能性についての報告もあります。
更には、米国のFDAでは、2018年に高純度・高濃度のカフェインに関する業界向けガイダンスを公表し、粉末または液体の形で高純度・高濃度のカフェインを含む栄養補助食品が大量包装された状態で消費者に直接販売された場合は違法と見なすというような判断もされています。
これは、高純度・高濃度のカフェイン製品では安全性が担保されると思われる量と、有害と思われる量との差が非常に近いために、少量の差が、心拍異常や死亡などの深刻な健康被害を引き起こす可能性があるにも関わらず、安全な摂取量を正確に把握することが難しいという理由からとも言われています。
「カフェイン」という言葉で、多くの人が連想する食品はコーヒーですが、2015年5月に、国立がん研究センター予防研究グループによって「習慣的にコーヒーを飲む人は、心臓病、脳卒中、呼吸器疾患による死亡リスクが低下する」という研究報告によって、コーヒーのイメージがある意味一変しました。
この研究によれば、炎症を予防する効果のあるカフェインと、酸化を防ぐ効果のあるポリフェノールの相乗効果と言われていますので、カフェイン以外の成分によってもたらされる健康効果であるという事も十分に認識をしながら、「カフェインの過剰摂取」に対しての意識を持ち続けることも大切です。
ストレス時代の昨今、カフェインについては、薬ではないものの、身体に与える影響を考えれば、他の薬などと同じように、正しく使ってこそ適切な効力を得られる・・という認識をもち「危険性に関する情報」も併せた上での付き合いが大切なのかもしれません。
Posted by toyohiko at 11:31│Comments(0)
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