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2022年10月07日

コルチゾールと脳との関係を考える

コルチゾールと脳との関係を考える


 皆さん、コルチゾールという言葉をご存知でしょうか・・・?

 このコルチゾールは、通称:ストレスホルモンとも言われ、ストレスの上昇とともに分泌されるといわれているホルモン物質の一つです。
 
 朝起きる時にはこのコルチゾールが十分に分泌されることで、朝から活動的になるための準備には欠かせないホルモンになりますので、ストレスホルモンと言われているからと言って、無い方が良いということにはならないのです。

 このホルモンの特徴としては、睡眠をはじめ脳の働きに密接な関係があるとされています。

 例えば、睡眠に必要とされるメラトニンというホルモンとコルチゾールの分泌には逆相関の関係にあることが望ましいとされています。

 睡眠ホルモンと言われるメラトニンは、トリプトファンなどのアミノ酸を基に腸管神経系を中心に幸せホルモンと呼ばれるセロトニンを原料にしてつくられるといわれていますので、就寝のタイミングでメラトニンの量を十分に確保する必要がある一方で、ストレスホルモンのコルチゾールを減らしておく必要もあります。

 メラトニンをしっかりと増やしておくには、原料であるトリプトファンを就寝時に間に合うように摂取する必要があります。
そのためにも、タンパク質を意識した朝食をしっかり摂ることが大切です。生活が不規則で睡眠に支障がある人に多いのが、「朝食を食べない・・・」というパターンです。

 「朝食を食べない」パターンに多く見られるのが、夜型の生活リズムによって、就寝直前にものを食べる習慣が身についていたりすることで、「朝、お腹がすかない・・・」という理由です。

 このパターンは、就寝時に消化管内に食べ物が未消化のままで滞留してしまうために、腸管内のクリーンナップの機能でもある大蠕動がうまく機能し難くなり、慢性的な便通の異常を含め腸内環境へのマイナスの影響が出やすいとされていますので注意が必要です。

 また、朝食をしっかり摂ることは、朝しっかり起きるという事にもなり、体内時計のリセットにもつながりますので、体内時計のズレによる生活リズムの乱れを防ぐという効果にもなります。

 朝のコルチゾールの上昇は良いのですが、就寝時近くになってのコルチゾールの過剰な分泌は、睡眠の質の低下だけでなく脳機能の低下も含めた多くのリスクに繋がるとされています。

 特に、注意が必要なのはデジタルデバイスなどによる脳への過剰な刺激です。

 早稲田大学理工学術院の枝川義邦教授によりますと、パソコンやスマートフォンなどデジタルデバイスを用いたマルチタスクは、脳内でのコルチゾールの増加を促し、これが続くと脳機能の低下や脳細胞の死滅にまでつながってしまうと指摘しています。

 デジタルデバイスによるマルチタスクは、脳への負担が大きく前頭前野の情報処理機能が低下するといわれています。
 
 このような、脳の機能の低下により怒りや感情のコントロールがうまくいかなくなることにつながる可能性があり、その傾向は加齢によって高まるとも言われています。

 とはいえ、脳医学者の瀧靖之氏によれば、脳の神経細胞がつくられるメカニズムは、外部からの刺激により変化し、その変化は加齢による著しい低下はないのではという事も言われています。

 情報化社会と言われる現代、ストレスホルモンとうまく付き合っていくには、情報に溺れないように「ぼんやりと過ごす・・・」ことで、脳科学的にもコルチゾールの過剰な分泌をコントロールすることにつながるのであれば、ゆとりのあるプライベートライフを大切にすることが、脳の健康にも直結するのかもしれませんね。





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Posted by toyohiko at 16:37│Comments(0)身体のしくみ
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