2022年10月28日
「脳疲労」という考え方

皆さんは、「脳疲労」という言葉をお聞きになったことがありますでしょうか。この「脳疲労」という概念は、九州大学の藤野武彦名誉教授が提唱した概念で、脳への過度な負担によって「脳が疲れた状態」のことを指します。つまり、筋肉を使いすぎると筋肉疲労が起こって筋肉が動かなくなるように、脳も使いすぎると「脳疲労」を起こし、正常に機能しなくなるというのです。
しかしながら、「脳が疲れた・・・」と直接的に感じることは難しいために、「脳疲労」の状態になっていても気付いていない人が多いという問題があるそうです。
気になる方は、11項目の簡単な質問による「脳疲労度チェック」もありますので、試してみてはいかがでしょうか。
九州大学の藤野武彦名誉教授によれば、実際に脳が疲れた状態になった場合の自覚症状としては、味覚や嗅覚などの五感に異常をきたすと言います。例えば、味が分からなくなる、たくさん食べたくなる、眠れなくなる、感情が不安定になる・・などの心身に関わる不調です。
この状態を、放置しておくことで、満腹中枢の異常にもつながり、肥満の原因となる過食や糖尿病のリスクが高まってしまいます。
更に、言葉が理解できない、被害妄想のような思い込みが強くなるなどの認知異常の症状になることがあり、さらに進むと思考力、判断力、集中力、意欲が低下し、「考えが、まとまらない・・・」、「物忘れが多くなる・・・」「うっかりミスが増える・・・」「イライラしやすくなる・・・」などの具体的症状にもつながり、このような認知異常の状態が進むと、うつや認知症といった精神疾患などのさまざまな病気につながっていくとも言われています。
しかも、この脳疲労は、年齢に関係なく3歳からの事例もあり、思っている以上に身近な問題として考える必要もあるとされています。
さらに、寒暖差の大きい季節の変わり目など、環境の変化がストレスになり脳の疲労につながるとされています。これは、自律神経系の負担が非常に高くエネルギーも多く使うことで脳が消耗してしまうのだそうです。
このような「脳疲労」、予防や改善も出来ると言います。
そのための第一歩は、自分自身の五感を活性化し、心地よい状態にしていくことと、睡眠を大切にすることで、脳の疲労を予防することも出来るというのです。
また、現代社会において「脳疲労」に対する一番の大敵は、スマートフォンなどの電子デバイスの過度な利用です。スマートフォンなどの電子デバイスの常用は脳へのストレスが高く、神経細胞の活動低下を招き、脳の血流減少になってしまうことで、脳の機能が鈍ってしまいます。
これは、脳の一部分だけを長時間使うことで、極端に負担がかかってしまうためとされていますので、スマートフォンを手放せない人は、他の事も同時に行い、脳の他の機能も使う・・・という事も出来る工夫のひとつとも言われています。
また、「なかなか、手放せない・・・」という人は、自然に触れる時間や他の人との時間を意識的につくることで、電子デバイスなどを使わないようにしていく事も有効です。
脳の疲労の回復には、「嫌だな・・・」と思うことを減らすことが大切だとされています。
だからこそ、「しなければならない・・・(MUST)」ことを出来るだけ少なし、依存症ほどでなければ、禁止しないことで、自然に解決していく事も沢山あるという考え方を取り入れることが重要だと言います。
そのためには、・・・・
健康に良いことであっても嫌いであればしない
健康に良くない事でも、好きな事、辞められない事であればとりあえず続ける
健康によくて好きなことを、一つでも良いから始める
三つのうちの「健康に良くて好きなこと・・・」を始めようと思ったときには、次のようなことを意識すると良いそうです。
視覚、絵画などをじっくりと集中して見る。
聴覚、音楽などを、目を閉じて集中して聴く。
嗅覚、アロマなど好きなニオイに集中する。
味覚、目を閉じて好きな料理の味に集中。
触覚、入浴時にあたたかいお湯に包まれている(触れている)という意識に集中して入る。
というような、それぞれの五感に集中することで、他のマイナスを打ち消すことが出来ると考えられています。
とはいえ、これらの全てを行う必要はなくひとつでもやってみることで、「嫌だな・・・」、というような思考になってしまう時間を減らすことで、脳の疲労は回復すると考えることができればいいのです。
「脳の疲れが気になる・・・」という方は、この中から一つでも良いので始めてみてはいかがでしょうか。
Posted by toyohiko at 17:04│Comments(0)
│身体のしくみ