2023年01月28日
睡眠の質について考える

世界でも、睡眠に対する悩みが最も多いと言われている日本では、2016年の厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、「睡眠に対して問題を抱えている人」が、約2,300万人もいるとされています。
睡眠に対する悩みについては、「眠れない・・・」「睡眠時間が取れない・・・」「生活のリズムが取りにくく、しっかり眠れない・・・」など、様々かと思いますが、今回は、「睡眠の質」について考えていきたいと思います。
睡眠の質に関して、最もわかりやすいのが、「スッキリとした寝覚め・・・」ではないかと思います。起きた瞬間の感覚というのは、思いのほか身体の状態を感じ取りやすいものです。
「疲れが残っている感じ・・・」「何となくだるい・・・」などの感覚が無いことは一日のスタートとして大切なことです。
そして、もう一つは、中途覚醒と言われる、「途中で起きてしまう・・・」という状態です。この状態は、加齢とともに多くなり、特に、「夜、トイレで起きる・・・」というかたも多いのではないでしょうか。
尿意が原因による中途覚醒は、トイレに起きてしまってもすぐに眠りに入ることが出来れば、睡眠そのものには障害がないと思われますので、寝る前の水分の調整など、睡眠以外のアプローチが必要ですが、中途覚醒後なかなか寝付けない場合は、他の対処方法を考える必要があるそうです。
中途覚醒から、寝付けない状態で寝床に入ったままで、「身体の疲れ・・・」がとれているかの不安を持つ方も多いかと思います。
また、重要なイベントの前にも「緊張で眠れない・・・」という事もあると思いますが、原因が明確な一過性のモノであれば気にする必要はありませんが、このような興奮状態が続くのは、あまり良い状態ではないと考える必要があるそうです。
国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部 栗山健一部長によれば、そのような、状況が続くというかたについては、寝られない状況で、寝床に入り続け、眠れずに過ごすことは、「眠れない焦り・・・」につながり、睡眠の質を下げることにつながると考えた方が良いそうです。
そして、眠れない事への「焦りスイッチ」を入れないことが大切なのです。
眠れない場合は、一度寝床から離れ、ゆったりとした音楽やアロマなどリラックスできるような環境をつくることで、「焦りスイッチ」を入れないようにしたり、解除することにつなげていきます。
なお、光は視覚からの強い刺激につながりますので、スマートフォンをはじめテレビなどの電子デバイスも「光源である・・・」という意味で、明るくない環境を心掛けることが大切です。
さらに、「眠くなるまで、床に入らないことも必要・・・」という考え方が重要になるようです。不眠の解決策に対して、「早寝、早起き」の発想はあまり良くないと言われているのは、この「焦りスイッチ」が関係しているからで、この悪循環から脱出するには、「遅寝・早起き」を意識すると良いようです。
それでも眠れないケースでは、寝ていないと感じていても、検査などで状態を調べてみるとある程度眠れているという逆説性不眠というケースもあり、不眠と感じている方にもこの要素が多い方がいるとも言われています。
本人の「眠れていないから辛い・・・」の解消には、焦りスイッチを切るためには、「眠れていない・・・」という事に向き合い過ぎないことも大切かもしれません。
また、歯ぎしりやいびきの影響で、「朝、起きた時に疲れがとれていない・・・」と感じてしまうケースもあるようですが、栗山健一氏によれば、歯ぎしりやいびきは、直接的に睡眠の質の低下に影響があるとは言えず、朝の疲れのとれかた・・・など、睡眠の休養感が低い場合が見受けられるようです。
歯ぎしりの原因は、ストレスであることが多いとされていますので、ストレスをためないことや、カフェイン、喫煙、飲酒の影響を避けることが有効とされています。しかしながら、睡眠関連歯ぎしりという場合もあるようなので、確認することも必要です。
更に、更年期のホルモンによっても、睡眠に影響が出ることもあります。
一般的に、女性の不眠は更年期を契機に増加することが知られており、女性の場合は、男性の1.7倍にものぼるひとが睡眠に悩んでいるとも言われています。
原因としては、女性ホルモンの分泌量が大きく減少することによると考えられており、特に女性ホルモンの一つであるエストロゲンの低下が、不安などを引き起こし易くなり、不眠を悪化させるともいわれていますので、ホルモン補充療法も効果的だとされています。
更年期の様々な、症状と不眠とを関連付け過ぎてしまうことで、先ほどの「焦りスイッチ」のようなものにもつながり、睡眠の質の低下につながることも理解し、「睡眠不足を警戒しすぎない・・・」という意識を持つことも有効な手段の一つとして考えると良いのかもしれません。
最後に、睡眠中に分泌されると言われています、成長ホルモンとの関係についても、睡眠の質に関係するものの一つと考えられます。
成長ホルモンは、代謝の調節、免疫機能の維持、認知機能の維持というように、様々な役割を担っています。
また、睡眠の前半4分の1の時間帯での「深い睡眠」時に、成長ホルモンは、多く分泌されると言われていますので、「眠りはじめ・・・」にしっかりと睡眠に入れるかどうかは重要であり、成長ホルモンの分泌にマイナスの影響が出る可能性があると考えられますので、中途覚醒後、なかなか寝付けない場合は良くないかもしれません。
その一方で、その後「深い睡眠」に入ることが出来れば、問題ないとも言われていますので、これも「焦りスイッチ」を入れずにいることで問題ないと考えた方が良いようです。
「睡眠の質」といっても、なかなか実感ができにくいかもしれませんが、「スッキリとした、寝覚め・・・」「寝ている間に起きていないか・・・」の二つのポイントの重要性と、「寝られていないことを気にしすぎない・・・」ことが、睡眠の質の向上につながることも理解していくと良いのかもしれません。
Posted by toyohiko at 13:30│Comments(0)
│身体のしくみ
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
|
|
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。