2023年03月31日
運動から考える脳の健康

あちこちで、桜の花を見かけるようになり、ついつい、「ちょっと外へでも出かけてみよう・・・」という気持ちになってきてる方も多いのではないでしょうか。このお出かけには、散歩などによる運動というだけでなく、生活全般に関わる大きな要素も加わってきます。
寒い季節は、どうしても身体を動かすことに関して、億劫になってしまうことも多いかと思いますが、運動不足による悪影響には、筋肉量の低下や、それに伴う肥満など様々と言われていますが、脳科学者でもある加藤プラチナクリニックの加藤俊徳氏によれば、「衰えるのは筋肉だけではなく、脳の機能も衰えていく・・・」そうです。
脳には様々な機能がありますが、その機能には運動を司る部分が沢山あり、運動不足によって、その周辺の運動を司る部分以外にも不具合が生じてくるというのです。
加藤氏は、脳には約120に及ぶ異なる機能の神経細胞が番地のようになっていると言います。その機能は、身体を動かす運動系、考えたり判断をしたりする思考系、喜怒哀楽を感じたり表現する感情系、話す伝えるなど意思疎通を司る伝達系、言葉や物事を理解し情報として役立てる理解系、耳で聞く聴覚系、目で見る視覚系、最後に、記憶の出し入れを司る記憶系の8つの系統に分類できるのだそうです。
例えば、私たちが歩く時には、ただ単に足を動かしているだけではなく、まず、足に力を入れなければなりません。その指令を出すのは脳番地の中でも思考系と言われるところです。さらに、「どこに行くか・・・」「曲がるか・・・」「真っすぐに進むか・・・」さらには、障害物があれば、「どう避けるか・・・」というように、脳にとっては、歩くというのは考えたり、判断したりの連続なのです。
当然、今自分が何処にいるのか、というような情報収集やその理解も欠かせない要素になります。つまり、歩くという行為は、単なる動作だけではなく、脳にとっては新しい刺激を得ることで成長を促す重要なことになっているのです。
カナダの脳神経外科医のワイルダー・ペンフィールド博士は、脳に電気信号を与える実験で脳刺激と身体との関係を地図のように示したところ、手、指、顔、足などの面積が大きく、それらの器官と脳とのつながりも大きいということを示唆しています。
更に、足については脳の頭頂部とつながっているために、他の脳番地への影響も大きい可能性への指摘もあります。
このように、運動と脳の関係性は思っている以上に高く、屋外で良く歩く習慣のあるかたのMRIによる画像などをみても、脳番地のネットワークが発達し太い状態が確認できると同時に、逆に運動不足によって細くなっていくということもあるのだそうです。
運動不足によってもメンタルヘルスに対するリスクの増加が言われ始めていますが、定期的に運動をする習慣がある人と運動する習慣がない人では、ストレスに対する耐性が大きく異なることや、屋外活動が増えることで幸せホルモンのセロトニンの分泌が促されたり、セロトニンを原料とする、睡眠に必要なホルモンであるメラトニンの量も十分に分泌されると考えられています。
当然、運動すれば、メラトニンの量が増え、フィジカルの適度な疲れも伴って、質の良い睡眠にもつながります。
加藤氏は、日頃のライフスタイルに合わせて、1日に必要な歩行量を次のように提案しています。
1日のうちほとんどがデスクワークの方は、6,500歩(約5,000m)位の運動が知的生産性を高める。
デスクワークが多め、という方は5,000歩(約4,000m)の運動で脳の健康状態を維持することが出来る。
デスクワークと立ち仕事が半分ずつ位の方は、3,500歩の運動がストレスの軽減につながる。
というように、脳のためにも日頃から身体を動かすことの大切さを訴えています。また同時に、出来ない時は、前後のスケジュールで足りない運動量を補うことも大切とも述べています。
運動と脳の健康は、意外にも深いつながりがあるという意識をもって、日頃の生活を見直していくことも大切なのかもしれません。
Posted by toyohiko at 09:07│Comments(0)
│身体のしくみ