2023年10月28日
プロバイオティクスの安全性について考える

プロバイオティクスと呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌などの身体にとって良い働きをする微生物は、健康需要の高まりとともに、様々な食品に利用されるようになってきています。
そこで、注目されるのがその対象となる微生物の安全性です。
ヘルスクレームと呼ばれる食品の保健機能表示制度が制定されている国では、 ある特定の乳酸菌やビフィズス菌をプロバイオティクスとして摂取したときの有効性のみならず、大量に長期間摂取しても安全であることを科学的に証明するデータも求められています。
全てのプロバイオティクスについて、同じような基準によって安全性が確認されているかどうかは定かではありませんが、一部のプロバイオティクスについては、人に対する有益な働きだけでなく、繰り返し実施された安全性試験によって、次の項目について安全であることが確かめられています。
まず第一に、「大量に長期間摂取しても無毒である。」ということです。目に見えないスケールの微生物を大量に・・・と思うかもしれませんが、食品やサプリメントの状態で過剰に食べてしまったり、習慣化するということは考えられます。
この場合の「無毒・・・」という部分に関しては、プロバイオティクス以外の食品成分は含まれませんので、カロリーコントロールなどが必要であるということを認識しておく必要があります。
また、摂取した微生物が原因となって変異原性と呼ばれる発がんなどに結びつく可能性のある性質が無いことや、人に有害な影響を与えるような遺伝子を持たないことも重要な要素です。
さらに、抵抗力が落ちた人が摂取しても、免疫系や腸内フローラのバランスが乱れたりすることで感染防御機能が崩れた時に、病原性が低い常在菌やウィルスの影響によって起きる日和見感染性を示さず安全に利用できることや、アレルギー疾患や自己免疫疾患を持つ人に対しても疾患を増悪させることがないことも確認した上で利用していただくという考え方をしています。
そして、最後に一部の抗菌薬に対する耐性を持つものの 他の有害微生物にこの抗菌薬への耐性を伝達することで、その有害微生物の耐性を向上させてしまうような性質を持ち合わせていないことも含まれています。
この安全性に関する制度に関しては、米国には食品の安全性に関する審査制度があり、厳格な審査により安全性が保証された食品に対してGRAS(Generally Recognized as Safe)としての認証制度もあります。
この認証制度は、製品としての食品のみではなく、プロバイオティクスなどの食品に使用される微生物についても、認証を受け国内で使用されている事例もあります。
たかが、「食品」と言えど、微生物を利用しているという性格上、「食品」だからこその安全性は、実際に利用し、その利用を通じて健康の維持増進を目指していこう・・・という方にとっては、これらの要素は当たり前でなくてはいけないこととして取り組んで確認が成されているものがあることも知っておくと良いかもしれません。
Posted by toyohiko at 09:28│Comments(0)
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