2024年03月29日
睡眠不足を考える

「三寒四温」と言われるような気温を中心とした、環境の変化の厳しい季節になりましたが、同時に、睡眠に対する悩みを抱える人も多い季節となっています。
そもそも、体温コントロールの司令塔となる自律神経は、外界の気温の変化に対して、敏感に反応するように出来ているために、日々の気温の変化が激しかったりすることで負担の大きくなり、いわゆる「自律神経の乱れ」につながり易くなるのもこの季節です。
その自律神経の乱れによって影響を受けるのが、免疫力の低下であったり、眠れない、寝付けないなどの睡眠への影響です。
睡眠の状態が良くない指標になるのが、寝ている間に途中で目が覚めてしまう中途覚醒や、早朝覚醒があります。
睡眠には睡眠ホルモンと言われるメラトニンという物質が睡眠前及び睡眠中に分泌されることで良い眠りにつけることはよく知られています。
この睡眠ホルモンのメラトニンの分泌量が、加齢によって減少していることが近年の研究で明らかになりつつあるようです。
また、覚醒に関わるコルチゾールというホルモンについては、逆に加齢に伴い増加傾向にあるという報告もありますので、「歳をとると、朝が早くて・・・」という状況も実は、ホルモンの状態に左右されているのかもしれません。
メラトニンは、食事などを通じて摂取したトリプトファンが幸せホルモンと呼ばれるセロトニンになり、そのセロトニンを原料としてつくられるとされています。
このセロトニンですが、以前は、脳内のみで分泌されるとされていましたが、現在では、その多くが腸管や腸管神経系でつくられていることが分かってきています。
メンタルヘルスとも密接に関係しているとされるセロトニンを活性させるためには、腸内環境を整えることも有効とされていますので、腸内環境を意識した食事を取り入れることで睡眠の状態が改善する可能性もありそうです。
また、「寝酒」という言葉もありますが、「良く眠れるように・・・」と飲酒の習慣のある方もいるかと思います。
実は、飲酒は睡眠にとってマイナス要因になればこそ、良いことはほとんどないということも理解しておく必要があり、そのメカニズムについても、ある程度のことは解ってきています。
アルコールが分解される過程で、アセトアルデヒドという物質が生成されます。このアセトアルデヒドが交感神経を刺激するために、身体が覚醒の方向に向かってしまうというのです。その結果、「身体は休んでいても、脳は活発に動いている状態」になり、眠りが浅くなって目が覚めやすくなるのです。
更に、睡眠中にはアルコールの分解は遅くなるために、飲酒状態の睡眠によって酔いから覚める速度を遅らせてしまうことが分かっています。
確かに、アルコールは睡眠導入への効果はありますが、逆に睡眠を浅くし、利尿作用もあることから、中途覚醒や早朝覚醒の原因となり、睡眠障害につながることも理解しておく必要があります。
これらのように、睡眠に対する影響は加齢によるものや、飲酒などの「いままで、効果があると思っていた・・・」などに対するものなど、身体に対するあらゆる影響を理解した上で、対応することが大切です。
Posted by toyohiko at 12:18│Comments(0)
│身体のしくみ