2014年08月22日
カルシウムパラドックス

カルシウムパラドックスという言葉を聞いたことがありますでしょうか・・・?
これは、体内のカルシウムの摂取量が不足するとカルシウムが過剰になってしまうという身体の中に起きる一見、矛盾にも思えるような現象のことです。
正確に言いますと、全体のカルシウムというわけではなく、血液中のカルシウムが過剰になってしまうということになるのですが、血液中のカルシウムが過剰になるということでどんな不都合が起きてしまうか・・・ということが問題になります。
一般的には、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが上昇するといわれています。
これは、過剰になったカルシウム分が血管の壁に付着しやすくなり、そのために血管壁の弾力性が損なわれ、動脈硬化を起こしやすくなることによって脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすい状態を作ってしまうということのようです。
ここで、大切なのは、なぜカルシウムが不足すると体内にあるカルシウム分が血液中に補充する必要があるか…ということです。
体内に存在するカルシウムの1%が筋肉や神経、体液に存在してます。このカルシウムが実は、身体にとって重要な役割をしているというわけなのです。
東京歯科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏によると、この1%のカルシウムの働きによって、「血液の凝固を助ける」、「筋肉の収縮を促す」「酵素を活性化させる」「心臓が正常に働くように支える」など、生命維持に直接関わるような働きをしているために、不足しないようなセーフティーネットが備わっているということのようです。
このセーフティーネットの司令塔となるのが、副甲状腺ホルモンです。1%のカルシウムが減ってしまうと、副甲状腺ホルモンの指令によって骨に含まれるカルシウムが血液中に溶け出すことによって補われるというわけです。
しかしながら、ひとつだけ不都合があり血液中のカルシウムが補われても指令がすぐに止まらず、血液中に溶出し続けることが多いというのです。そのような現象が起きてしまうために、カルシウムが不足すると血液中のカルシウムが過剰になり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるというわけです。
カルシウムは、摂取しても吸収されにくいミネラルとしてもよく知られています。そのためにビタミンDが大きな役割をしていることもよく知られています。
また、夏の時期は汗によって一緒にカルシウムが失われることも、よく理解しておく必要があります。そのためにも熱中症対策での、水分補給には塩分だけでなく失われたミネラルによって、自分の身体に何が起こるかということをよく理解しておく必要があります。
カルシウムを摂取する方法としては、一般的に、純水でなければイオン化されたカルシウムやマグネシウムが身近な水の中に含まれていますので、食品から摂取するよりは水に溶け込んでいる状態のもののほうが体内に吸収されやすいとも言われています。
しかしながら、環境の変化によって水の成分も変化してきています。また、あまり問題視されるようなことはありませんが、最近では技術の向上によって水がきれいになりすぎることによる不具合も少なくないというような話も耳にします。
もともと、日本はカルシウムやマグネシウムの少ない軟水のが多い地域です。自分自身のライフスタイルに合わせて、「身体と水」という視点で、水分補給を心がけることも大切なことかもしれませんね・・・
Posted by toyohiko at 13:01
│身体のしくみ