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2014年07月26日

日光浴とビタミンD欠乏症

日光浴とビタミンD欠乏症

 近年、子どもの「くる病」患者が増えているという話があるそうです。「くる病」といえば、昔、栄養状態の悪い時期にあった病気であったり、冬期の日照時間の少ない北欧中心にはやった病気で、今はほとんど聞かない病気というイメージが多いのですが、近年はどうも状況が違ってきている様子です。

 「くる病」といえば、ビタミンD欠乏症と言われるくらいで、ビタミンDと大きく関係しています。くる病は、骨の中の鉄筋の役目を果たすコラーゲンと、コンクリートの役割を果たすカルシウムとリンが結合して作られるハイドロキシアパタイトという物質でできています。これが不足すると大人の場合は、腰痛などの症状や重症になると歩行困難となる骨軟化症という症状になります。

 しかし、子どもの場合は成長軟骨がうまく成長せずに、骨の成長のバランスが崩れてしまうことによって、骨が伸びなくなってしまうのです。また、くる病というと背骨が曲がったイメージが多いのかもしれませんが、膝の骨で症状が出ることによってO脚になるという症状であることもあるそうです。

 岡山済生会総合病院小児科診療部長の田中弘之氏によると、1990年ころからこの傾向が見られるようになったとしています。その原因として考えられるのは、母乳栄養の過剰評価やアトピー性皮膚炎などの子どものアレルギーなどが増加し、食べ物の種類や紫外線の影響というものを非常に気にし始めたということが考えられるのでは、としています。

 特に、日本ではビタミンD中毒が取り沙汰されたこともあり、ビタミンDに関する関心を薄いのかもしれません、現にドラッグストアなどを見回しての国産のビタミンDのサプリメントはほとんど見当たりません。
また、昔のように肝油を口にするというようなことも耳にしなくたったということもあり、潜在的ビタミンD不足の方は多いのではとさえいわれています。

 このように、マーケットで需要があまりないといういことが関係しているかどうかわかりませんが、ビタミンDがどのような疾患を関連があるかということについても、未知の部分が多いとされています。

 また、ビタミンDは、日光を浴びることによって体内で生成されることはよく知られているのですが、食品から摂取する場合の比率がどのくらいがいいのかなども未解明の部分が多いのです。
 
 とはいえ、ビタミンDにも免疫寛容作用をはじめ色々な効果の研究があることも事実です。例えば、糖尿病患者とビタミンD不足もその一つです。しかしながら、疫学調査の段階のため、詳細なメカニズムについてはこれからのようですが、もともと、身体に産生能力があるということは、他の必須栄養素とは異なる、身体への大きな関わりがあると考えても不思議ではないような気がします。

 そういった意味では、ビタミンD不足が原因で色々な身体の不調に繋がり、それが日光浴をすることで防げるとすれば、正しい知識のもとに、太陽の光を意識するべきなのかもしれません

 さらに、日本人は有色人種のために皮膚に色素が多く、白人と比較した場合に皮膚でのビタミンDの生産効率は悪いそうなので、日光を意識することがさらに必要なのかも知れません。

 田中氏によりますと、ビタミンDの生成にもっとも効率がが良いのは「手の平」と「顔」なのだそうです。
「顔」を日光にさらすのは抵抗があるにしても、「手の平」であればさほど気にならないのでは・・・と思います。

 1日5分から15分程度・・・手の平を太陽の光に向けてみることが、健康に繋がるかもしれません。



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Posted by toyohiko at 13:54 │身体のしくみ