2014年07月19日
食品の機能性表示

平成26年7月18日消費者庁の有識者会議で、食品の成分が身体にどのように良いかを示す「機能性表示」に関しての報告書案が取りまとめられたということです。
この報告書によると、過剰摂取による悪影響が考えられるアルコール類を除く食品全般に対して、健康の維持増進についての表示が認められるような制度を作っていこうという方向性のもののようです。
現状の、食品に関する保健効果に関しては、特定保健用食品として消費者庁自身が効能の根拠を審査し、その関与成分と保健効果を食品に表示することができます。しかも、解釈の違いによる効果の誇大表現などが起こらないよう、「許可表示」として、表示内容が一言一句、厳密に決められています。
その一方で、特定保健用食品以外の食品の保健効果に関しては基本的には認められないという薬事法の基準の中で運用がなされています。
とはいえ、現状では、特定保健用食品の認可には数億のコストと数年の期間がかかるとされているうえ、パッケージの基本的なデザインなどの変更も申請期間中は難しいということになりますと、なかなか申請のメリットについて企業側も見いだせないということになります。
実際に、商品そのものには表示はないがイメージ広告とセットにすることで消費者に保健効果のイメージを植え付けるというマーケッティング戦略をとっている食品メーカーも少なくありません。
そのような状況の中、企業が科学的根拠を立証した論文や製品情報を消費者庁に届けるだけで、国の審査による許可を必要とせずに健康の維持・増進び範囲に限って、「目」や「肝臓」など特定の身体の具体的な部位を挙げて表記ができるようになるように制度変更をしようという流れがあるということです。
この制度の背景には、医療費を含めた社会保険料の増大への歯止め策として、食品の保健効果を見直してもらおうということがあるのだと思います。また、世界一の長寿国の日本ではありますが、健康寿命とのかい離が女性で12年、男性で10年弱という報告もなされています。
このことは、世の中のほとんどの人が10年くらい、寝たきりだったり、要介護の期間を過ごす覚悟を社会的にも経済的にもしておかないといけないという話につながっています。
確かに、身体というものは口から入ったものと、それを利用して共生している微生物から作られたものからできています。そういった意味では、食品の保健効果というものに着目することは非常に良いことだと思います。
しかしながら、「甘い」、「やわらかい」、「見た目がきれい」、「安い」などのニーズによって各企業がしのぎを削って販売競争をしている現状があることも事実です。
「販売競争をしている」ということだけの理屈を言えば、買っていただければ、「食べてもらう必要ない」というような極端な発想になっている人がいないとも限りません。
現に、日本での食品の廃棄量が2,000万トンレベルであることも、そのような実態を表していると言えるのかもしれません。そんな中、食品の賞味期限に関する考え方の見直しも検討されています。
このような、社会背景を考えた場合、食品を作る側も売る側も、単に「販売競争に勝つ…」というだけでなく、「皆さまの身体づくりのお手伝いをしている。」というような倫理観が今よりもさらに求められると同時に、利用する消費者にも食品を取捨選択するための情報収集を始め、高いリテラシーの能力が求められるようになると思います。
Posted by toyohiko at 11:57
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