2014年06月21日
「食品表示」気にしていますか? (Ⅳ)

現在、「健康食品に関する規制緩和」が議論されています。その議論の内容は、例えば、現在、薬事法で特定保健用食品の認可によってのみ認められている保健効果の記載などに関して、規制緩和しようという内容のようです。
その理由として、考えられているのは現状の社会保障費の負担増、その中でも伸び率の高い医療費の問題を医療と国の財政で解決するだけではなく、健康食品というものを解決策の一つとして位置づけようとしているということのようです。
現状の特定保健用食品の認可の考え方の中にも、特定の症状を改善したり緩和する食品や関与成分などは、薬と同等とみなされるために原則的に特定保健用食品の保健効果として認めないというような方向性にあるという話を耳にしたことがあります。
このような、「薬」と「食品」の縦割り的な争いのようなことが、利用者の健康状態の改善のために無くなっていくことは、食生活の見直しもふくめ望ましいことだと思います。
しかし、これらの議論で気になることがあります。現在の特定保健用食品に関する保健効果の認可について、重要視されているのは「安全性」です。この「安全性」という言葉に対して、コスト・ベネフィットの考え方をベースになされているというような、報道が堂々とあることです。
確かに、掛かる経費に対して見合っているかということが、受益者の利益にかなっているかということは重要なことです。しかし、その天秤の片方に「安全性」をもってくるということがどうなのかということを考えなければいけないと思います。
見方を変えれば、安全性を担保するのに経費がかかるということは、安全性に対して不透明で確認しなければならないことが多いということにもなります。そこでは、「企業の利益」と「消費者の不利益」という二つのものが釣り合ってしまうということにならないことが大切なことです。
現状の食品に表示されている、原材料表示にしても「一括表示」、「キャリーオーバー」、「加工助剤としての使用」など様々な制度によって、実際に入っているのに表示しなくても良いと定められているものがたくさんあります。
この、原材料表示の議論の際にも、原材料表示ラベルの表示の変更や商品そのものライフサイクル、中小事業者への配慮などの理由で現行制度があるようですが、そこにもあるのがコスト・ベネフィットの考え方です。
つまり、現状でも何が入っているか、作った人にしかわからない食品をほとんどの人が、情報もなく取捨選択できずに口にしているということです。
それぞれの成分の安全性について、「心配だ・・・」と思う人もいれば、「そんなに気にすることはない・・・」と思う人もいます。これは、専門的な科学をもってしてもすぐ解決するものではないと思います。そこには、「時間がたってみないとわからない・・・」という現実も存在しているということだと思います。
そこに対して、取捨選択するための情報を得る権利をコスト・ベネフィットという考え方のもとに失ってしまうということを私たちは、考えていかなければならないと思います。
もし、仮にコスト・ベネフィットを優先したとしても、原材料の産地なども含め開示請求できるなどの制度があれば、取捨選択する権利を主張したい人たちの利益を確保することは可能になると思います。
そのような要望が多い食品やメーカーなどは、仮に、食品そのものには、表示がなくても他の方法で開示できる方法を利用して対応してくると思いますし、開示手段の選択肢もたくさんあると思います。
みなさん、「食品の安全性」と「コスト・ベネフィット」との天秤のバランスどう考えますか・・・?
Posted by toyohiko at 15:11
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