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2014年02月21日

「食品表示」気にしていますか ? (Ⅲ)

「食品表示」気にしていますか ? (Ⅲ)

食品のパッケージには、色々な情報が表示されています。人によって大切にしている情報は違いますが、そこに表示されている何らかの情報をもとに、商品を取捨選択しています。

 また、そこに表示している情報についても表示しなくてはいけないものもあれば、表示に関しては任意であったり、しなくても良いというものがあり、食品衛生法で規定されています。

 例えば、農産物の遺伝子組み換えについても表示の規定が決められています。現在、日本で承認され流通している遺伝子組み換え作物は大豆、トウモロコシ、ナタネ、じゃがいも、綿、てんさい、アルファルファ、パパイヤの8品目あります。
 これらの作物を主原料とする豆腐、納豆、味噌、コーンスナック類など33種の食品に対して、「遺伝子組み換え」「遺伝子組み換え不分別」の表示義務があります。しかしながら、実際の食品加工の現状を考えると表示の義務のある食品は限られてしまうということになっています。
 
 いまや、醤油やコーン油、清涼飲料にわたり数多くの食品に使用されている異性化糖などは、トウモロコシを原料に作られています。食品の表示にはブドウ糖果糖液糖と表示されていることも多いので聞いたことがあるかとも多いと思いますが、この異性化糖についての「遺伝子組み換えでない」という表示は任意になっていますので、逆に言いますと義務はないということになります。
 また、遺伝子組み換え作物を使用しても、その加工過程で組み替えられたDNAおよびそれによって生じたタンパク質が残存していないような食品はその旨を表示しなくも良いということになっています。

しかし、異性化糖を使用している食品の表示には、遺伝子組み換えの表示をしていることがあまり見かけないのが現状なのです。

現在、日本のトウモロコシの主たる供給先はアメリカです。アメリカのような表示義務のない国からの調達を考えると、残念ながら「遺伝子組み換え不分別」の可能性が高いと言わざるをえません。しかも、原材料としてトウモロコシを調達している当事者でさえも「遺伝子組み換え作物が入っているかどうかよくわからない」という話を耳にしたことがあります。

これらのことを整理すると、表示のない場合は、「よくわからないが遺伝子組み換え不分別の可能性が極めて高いので、しっかり研究や検査機関を持ったところで異常タンパク質の残存がないことを確認して使用していることを期待する・・・」というようなわけのわからない情報しか読み取れないということになります。
とはいえ、実際に、異常タンパク質の残存の検査をしているいう食品メーカーもありますので、一概に×とは言えないところもあります。

 ところで、何故、遺伝子組み換えによって生じたタンパク質が問題になるかといいますと、タンパク質というものは、生命体を組成する大切なものである一方、あるはずのないタンパク質が体内に入ると、思いにもよらない生体反応や病気の発症につながるからです。
 体中の免疫システムも異常なタンパク質に対して反応します。近年起きた、お茶の成分の入った石鹸によるアレルギー反応の事故も原因はタンパク質ですし、BSE(狂牛病)の原因物質も異常プリオンと呼ばれるタンパク質でした。さらには、ウィルスもタンパク質に非常に近いものなので、タンパク質というものについての規定が決められているということなのです。

 現在、食料のアメリカ依存の傾向の強い日本では、アメリカの基準にあわせて遺伝子組み換え作物に関する表示義務はすべて廃止されるのではというような心配がされています。
また、アメリカの大学では農家の子弟向けの授業で「君たちは、アメリカの威信を担っている。アメリカの農作物は政治上の武器だ。だから安くて品質の良いものをたくさん作りなさい。それが世界をコントロールする道具になる・・・」と言ったというようなことも紹介されています。

 「食の安全」を通じて、自分自身の健康を守るための食品表示にも、単純な健康問題としての是非だけでなく、政治や経済に及ぶ複雑な要因が介入しているということがあるとすれば、・・・
私たち一人ひとりが現状を見据え、何をしていけば良いのかを考えて行動を起こしていかなくてはいけないのだと思います。



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Posted by toyohiko at 15:38 │食べ物を選ぶ