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2013年08月30日

おならの臭いはどこでつくられるか?

おならの臭いはどこでつくられるか?

 おならの臭いと言えば、「臭い」というイメージをほとんどの方が持つと思いまいますが、その臭いのもとになるものが身体のどこで作られているかを考えてみたいと思います。

 おならと言えば、言い方を変えると、「肛門から出てくるガス(気体)」と言うことになりますので、「口から肛門までのどこかで、あの臭いにおいが作られる原因がある・・・」ということは容易に想像がつくかと思います。

 まず、口から食道、胃に至るまでに生成した気体は、いわゆる「ゲップ」というかたちで出てくることがあります。ただこの場合は炭酸飲料のようにあらかじめ食品に含まれていたり。人によって食べる時に多くの空気を一緒に飲み込む癖によって胃までの間に気体が必要以上に充満した場合に出てくるものなので、発酵によるガスなどとは少々異なりますし、臭いなども明らかにおならとは異なる種類のものだということは、誰もが検討がつくかと思います。

 ということになりますと、十二指腸から先に何かが起こっていると考えるのが、理解しやすいような気がします。
 十二指腸では、肝臓から胆汁という便の色の素にもなっていると言われています。脂質を消化するための消化液が胆管を通って出てきます。
 しかし、十二指腸と言われるくらい短い腸なので、そこで何やら臭いのついた気体が発生するような条件が整っているということは考えにくいです。
 
 そうなりますと、最後は小腸か大腸しか残っていないということになります。この小腸と大腸は、「単に細くて長い」、「太くて短い」という違いだけではなく実は役割も含め色々な違いがあります。

 機能でいえば、小腸は栄養分を吸収し、大腸は残りかすを排泄するために水分を調整し便をつくるということになりますが、もう少し見ていきますとまだまだ違うところがありそうです。
 例えば、小腸には酸素が存在しますが、大腸にはほとんど酸素が無い状態なので、腸の中にいると言われる数100種類100兆個の腸内細菌も小腸と大腸では違う種類のものが共生し住み着いているということになります。
その中でも代表的なものが乳酸桿菌やビフィズス菌と言われる種類の腸内細菌です。乳酸桿菌は酸素に対する抵抗性があるために小腸に多く住みつきますが、ビフィズス菌は、酸素があると死んでしまうために、酸素の無い大腸内に多く住みついています。
 
 また、パイエル板のような免疫システムのほとんどは小腸の側にあり、大腸にはあまり見られないとも言われています。私たちが食べた食べ物の通過時間についても小腸は比較的スムースに通過しますが、大腸では排便されるまでそこに残ったままになってしまいます。

 これらのことを、考えると通過時間が遅く、免疫機能がすくない大腸で食べ物が異常発酵すると臭いにおいのもとが出来るのでは・・・という感じがします。

 実際に、腸内腐敗という言葉がありますが、この腸内腐敗の起きる場所のほとんどは大腸だといっても過言ではありません。その状態は、ちょうど「生ごみを人間の体温と同じ状態で保管している」ようなものだと想像してみてください。
 
 このように、考えるますとおならの臭いの原因をつくっている犯人は、どうらやら「大腸」と言うことになりそうです。

 さらに、腐敗によって産生された有害物質が身体中を駆け巡ってまう・・・
 ということを考えると、「おならの臭いを臭くしないためにはどうすればいいの・・・?」と言うことが心配になります。

 その一つは、中に入っている「便のもと」をなるべくはやく出すということが大切です。その為には腸内環境を整える事が大切です。大腸内の環境が整っていてビフィズス菌などが優勢になっていれば、それらの菌が出す乳酸や酢酸によって腸内腐敗防止になると同時に、その刺激によって腸の蠕動運動が活発化し排便を促すということにつながります。
 
 当然、良い菌を身体に取り入れることで、その効果も上がるということになります。スーパーなどで手に入る乳酸菌の入った食品には、「良い菌を増やし、悪い菌を減らす・・・」と言うような表示のあるものも沢山ありますが、一般的に酸素に比較的強い乳酸桿菌を使っているものであれば、免疫システムのたくさんある小腸に作用することで、大腸のビフィズス菌も増やすことができます。
 しかし、人によって腸内細菌の様子が異なりますので酸素が嫌いなビフィズス菌の入ったものを利用することで、大腸に直接作用させることも良いですし、小腸と大腸の両方にアプローチする・・・と言うことであれば、さらに有効・・・と言うことになります。

 年齢とともに減少してしまう良い菌・・・小腸がんと言うものは、あまり聞いたことがありませんが大腸がんと言う病気は、今や女性の死亡率上位の病気ともされています。小腸と大腸の違いを良く理解することで自分自身の健康へのアプローチの方法が見えてくるかもしれませんね・・・


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Posted by toyohiko at 16:31 │身体のしくみ