2013年06月07日
脂質と脳と腸

現在の日本人の食生活を考えてみますと、食のグローバル化や美味しい加工食品が増えたこともあり、脂質や糖質の摂取量が知らず知らずのうちに各段と増えてきています。
特に、加工食品の原材料表示を見てみますと色々な種類があって分かりにくいものもありますが、甘いものと脂質がほとんどといって良いほど上位に記されています。
ご存じの方も、おられると思いますが原材料表示は多い順番に記さなければいけないので、上位に挙がっているということは、「知らず知らずのうちにたくさん摂取している。」の原因にもなっているということが考えられます。
単純に脂質といっても色々な脂があります。大きく分ける動物性脂肪などの飽和脂肪酸と植物性脂肪や一部の魚類の油などの不飽和脂肪酸になります。
この分類は、大雑把にいいますと常温で液体なのか固体なのかと考えれば分かり易いと思います。動物性脂肪が身体に悪い印象が強いのは身体の中に入っても固形化しやすい為に血管がつまる原因になり易いと言われていることとも関係していると思いますが、必ずしもどちらかが良い、悪いということでもなさそうです。
この飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸なにが飽和しているのかと言いますと、以前にもマーガリンの話で言いましたが、水素が入る余地があるかどうかということのようです。
逆に言いますと、本来常温で液体のはずの油脂が固形化しているということは、人為的に水素を添加しいるということになりますし、その過程においてトランス脂肪酸のように本来自然界にない人間にとって有害なものを摂取してしまうということになります。
そんな中、脂質も脳にとっては報酬系の作用をするということもあり、脳はつねに脂質を摂取するように身体に命令をします。
このことは脳の60%が脂質で出来ていることも関係していると言われていますが、結果的に身近にある悪い油を使った食品をやたらと食べてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
一方、腸はどうなるかといいますと、脂質は腸にとっては消化吸収に時間が掛るために、過剰に摂取すると、消化されなかった脂質が腸壁に刺激を起こす物質として働きかけます。その刺激を回避するために下痢という過剰な脂質を吸収させないための防衛策をとるのです。
潰瘍性大腸炎などの症状のある方は、「良い油を摂るようにしてください・・・」といわれる様ですが、現象の一つとしてこのようなメカニズムが働く様です。
ここでも、やはり脳と腸の攻防が展開されている・・・ということになります。
ここで云う「良い油・・・」はどんな油?ということになると思いますが、東京医科歯科大学の藤田紘一郎名誉教授によりますと、かつて日本で常食されていた魚類に含まれるオメガ3という分類の脂肪酸が不足していると言っています。
しかし、スーパーマーケットの売り場を見渡すと、魚売り場と一部の油売場にしかないのが現状です。油として売っているオメガ3脂肪酸タイプのものはグリーナッツオイル位のもので、市場ではまだあまり認知されていないために実際にはなかなか手に入りにくいのが現状のようです。
とはいえ、腸に悪い刺激が続くことによって、セロトニン等の神経伝達物質などを通じて脳にも影響が出てくるとしたら・・・「良い油」を脳と腸のために・・・という発想で少し見直すことは必要なのかも知れません。
Posted by toyohiko at 11:19│Comments(0)
│身体のしくみ
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