2010年10月15日
秋刀魚苦いかしょっぱいか

秋の味覚の代表選手のサンマ、この魚の味覚を表す言葉の中に「秋刀魚苦いかしょっぱいか」という言葉があります。人によってはいろいろあるかもしれませんがあの秋刀魚の腹の部分のなんとも言えない苦味がたまらないという方も多いと思います。その苦みと、塩焼きにした時の塩味の合わさった風味が秋の味覚の代表選手として表現されている言葉です。
この「苦み」という味覚、人間の味覚の中でも比較的最後の方に出来てくる味覚と言われています。通常は「食物の五味」である、「甘味、酸味、鹹味(かんみ:塩味)、辛味、苦味」とさらに日本人特有と言われる「うま味」というものがあります。
その他にも、「あっさりとした味、とかうす味」を表現する「淡味」や「渋み」という味の呼び方があります。この「淡味」というのは「甘味」に「渋み」は「酸味」に分類されていますので実際には「六味」ということになります。
この味覚を感じるのが舌の上に無数にある味蕾という器官です。この味蕾は神経と繋がっているので実際に味を感じるのは脳ということになります。当然、以前にも述べたように匂いもこの味覚の大きな要因になっているのは言うまでもありません。
この味蕾ですが、舌だけある構造ではなくて喉の奥にもかなりあると言われていますし、口蓋と言われる口の天井にもあるそうです。
一般的には、この「六味」を感じる味蕾はそれぞれ違うところにあり、「塩味」は下の先端、「苦味」は奥の方、「甘味」はほぼ全体で感じると言われていますが実際はまだよくわかっていないというのが本当のところのようです。
味と身体の関係ですが、「きょうは、甘いものが食べたい・・・」とか「酸味のあるさっぱりしたものが食べたいとか」思うことがあります。これは、一般的に身体が必要なものを要求しているということになります。
ここで、「五味」と身体の関係についての中国医学や薬膳の考え方を紹介します。
「甘味」 身体の疲労や衰えを補ったり、神経や筋肉の緊張を和らげ
痛みをとるなどの緩和作用があり、胃の痛みにはちみつやなつめ
などを使うこともあります。
「酸味」 筋肉を引き締め、出過ぎる体液を収め渋らせる作用。
汗のかき過ぎ、せきが止まらない、尿が漏れるなどの症状に酢
などを用います。
「鹹味(かんみ:塩味)」 気を降ろし、固いしこりを軟化させる作用があり
ます。
「辛味」 身体をあたため、発散、発汗の作用、気血の巡りをよくする作用
があります。悪寒、鼻水などの初期の風邪の症状にねぎや生姜
などをもちいます。
「苦味」 体内の湿気や熱をとり、気を降ろす作用があるとされています。
皮膚の炎症や、口内炎に苦瓜や小豆を使うこともある。
このように、単に味覚といえども身体と大きなつながりなあるようです。皆さんも身体と会話をしながら味覚を愉しむのもいいかもしれません。
Posted by toyohiko at 13:36│Comments(0)
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