2010年09月10日
乳酸菌とビフィズス菌の何が違う?

「乳酸菌」も「ビフィズス菌」も近年は普段の生活の中で比較的耳にするキーワードになってきましたが、いったいこの二つの菌何か違うのでしょうか。
「菌」ということなので、両者ともに微生物ということはわかると思います。生物ということになれば生きていくのに「好ましい環境」、「好きな食べ物」、食べるということになれば、排泄をしますので「何を排泄するか」という視点で二つの「菌」を比べていきたいと思います。
その前に、この二つの微生物、実は見た目がずいぶん違います。
乳酸菌と言われる種類は桿菌といわれホットドッグのような棒状のものや球菌と言われる球状のものが多くを占めていますが、ビフィズス菌の場合はビフィッド(枝分かれした)という語源の示すとおり、V字型やY字型をしたものが多いです。
まず、「好ましい環境」ですが、以前にも述べましたように乳酸菌が酸素に対して大丈夫なのに対して、ビフィズス菌は酸素を嫌う性質がありますので、酸素のないところを好みます。この性質のためにビフィズス菌は食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」においても乳酸菌と性質が似通っているにも関わらず乳酸菌とは別のものとされています。これは、ビフィズス菌が嫌気性菌のために食品衛生の観点から考えても通常(酸素のある)の環境では増殖しにくいということから来ているのだと思います。
そんな性質がありますので、ビフィズス菌は人間の消化管の中では最も酸素の少ない大腸に多くの存在することになります。その反対に酸素が大丈夫な乳酸菌は酸の優勢な胃などを避け小腸にいるというわけです。小腸と言っても実際は全体にまんべんなくいるのではなく、大腸に近い回腸と言われるパイエル板などの免疫システムの集中してるとところに多くいるといわれています。
「好ましい食べ物」については、両者ともに乳糖や食物繊維などを好んで食べるといわれており、好きな食べ物はほぼ同じと言われています。よく、乳酸菌やビフィズス菌には「オリゴ糖」といわれるものこれらの菌が好んで食べるからです。
最後に、「何を排泄するか」ですが、乳酸菌という言葉にも「乳糖」を食べて「酸」を排泄する「菌(微生物)」という意味が入っていますのでわかると思いますが、乳酸菌もビフィズス菌も乳酸という酸を出します。
さらに、ビフィズス菌の場合は、乳酸だけでなく酢酸も同時に出すのです。
つまり、乳酸菌は小腸の下の方の免疫システムのたくさん集まったところで乳酸を出す微生物。ビフィズス菌の場合は、大腸で乳酸と酢酸を出す微生物ということになります。
乳酸菌がアレルギーや免疫に関係しているといわれることは、これらの特性によるところが多いかもしれません。また、ビフィズス菌の代謝する乳酸と酢酸によって大腸の中にいるほかの善玉菌が酪酸が産生されることが最近分かってきました。さらにその酪酸のほとんどは大腸上皮細胞で消費され、新陳代謝(ターンオーバー)が促進されるということも最近の研究で明らかになり「大腸の若返り」にも一役かっているようです。
しかし面倒なことに、大まかにはこれまで述べたような特性ということで良いかと思いますが、同じように乳酸菌という名前が付いていても人間の体に害を与えるものも存在するということもあります。実は、乳酸菌という分類は、たとえば哺乳類という分類と同じようなものでさらにいろいろな特性をもった種類がたくさんいるということです。その種類に該当するのが「株」という呼び方です。つまり、良い「株」の銘柄を選ぶ目が同時に必要になってくるというわけです。
Posted by toyohiko at 12:34│Comments(0)
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