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2010年06月19日

生物多様性って・・・??

生物多様性って・・・??

 前回に引き続き、生物多様性について考えていきたいと思います。生物多様性と言えど人間が考えるという前提からすると、「ひと」としてどうかかわるか「人類」としてどのように共生していくかということが重要になると思います。

 田んぼという一つの場面を考えてみましても、田んぼには動植物含めて5,470もの種が存在するといわれています。しかし、田んぼを機能として考えた場合に「稲」という最優先種に対しての「益虫」とか「害虫」さらには「雑草」という仕分けの概念が生まれてきます。

 また、それをサポートする「人」に対しても労動負荷の軽減やいろいろな工夫がなされるなかで間引きされる種が存在するということになるわけです。更に面白いことに、ここには「益」とか「害」とは全く関係なく「相手にされない」種が出現してくるのです。

 また、前回の天蓋種の話の中でも申し上げましたが、「カワイイ」、「カワイクない」という感性も大きな仕分けの基準になります。ゴキブリなどはその典型で、ゴキブリというだけで普段何も躊躇することなく駆除をしますが、自然界の中では、森の掃除屋として大きな役割をしている種もあるといわれています。

 その「益」とか「害」とつけた結果がどのようになるかは、環境のように様々な種が複雑に絡み合う場合においては、現代社会における社会変化や人の寿命という時間軸で考えても、自然という壮大なタイムスケールの現象については本当の意味での結果が出ないことのほうが多いのではないかと思います。

 しかしながら、人間の生活というものがベースになった場合、そこに経済原理を取り入れる場合も少なくありません。最近の「エコ」というキーワードもひょっとすると概念的には同じ部分もあると言えるところも少なくなさそうです。

 実際に、公益的な活動を行っている団体に於いても、経済原理は活動を継続的に行っていくためには有効な手段ではあります。しかし、経済原理という仕組みを導入することによって、「善・悪」とか「儲かる、利便性」という一つの基準を人間の社会の都合で設け、白・黒をはっきりしてしまうというリスクを負っているということになります。

 その現実をもう一度一人ひとりが考えるとともに、その結果起きてしまうかもしれない取り返しのつかないリスクを回避するためにも、もっとゆっくりと考えていいものと、そうでないものとの仕分けも同時に必要かと思います。

 環境問題は多種多様な連鎖の結果であり人間社会を基準とした自己完結的な解決の仕方はあり得ない世界です。それゆえ、人間社会という上からの目線からみた地球に対しての問題ではなく人間自身の問題であるという視点が欠けているという思いがいつも頭の中をかすめるのです。

 このように一つ一つの行動に対して、そこにかかわる人は「だから良いのだ」ということであってはいけないと思います。生態系保全の問題にしても人間の意志によって種の選択を行っていることを自覚し、そういった気持ちを持ちながら特定の種の為の環境や社会をつくるための主体としてかかわり続けることが重要でありますし、そのような気持ちを持った人々の環がりこそが大切にすべきことだと思います。

 そういった意味では、環境問題のもう一つの主役は常に人間で、人がどんな気持ちでどうかかわるかが大切なのです。
 恐竜の時代がおよそ1億8,000万年、人類誕生から500万年、この両者を考えても様々な問いかけをわたしたちにしているような気がしてなりません・・・。


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Posted by toyohiko at 10:36│Comments(6)地球を考える
この記事へのコメント

 事業者からの視点でいいますと、「ニーズ」があるから・・
もっと言い換えると「売れるから」ということが根源にあります。
 私どもも、ペットボトルの商品が出始めた当初は、利便性は高いけど環境の負荷は・・・?という論調は多かったですが、リサイクルがなされるようになってしばらくしたら、そのような話は、ほとんどされなくなったような気がします。
 日々の生活の中で「もったいない」という言葉ともっと正面から向き合う必要がありますね・・・
Posted by toyo at 2010年06月25日 15:06

iwakoさんのコメントを読んで思います。なぜこんなにゴミがでるのでしょう?私の小さい頃は、ジュ―スや牛乳はビンが主でした。お店にお買い物かごを持って行ったものです。私は40代ですが、小さい頃と今とでは随分変わっていますね。「もったいない」という気持ちを持ってゴミを減らしていかないといけないですね。
Posted by youko at 2010年06月24日 20:55

 ゴミの問題も深刻ですね・・・・
 現在、ゴミ処理に使われているお金が年間2兆円といわれています。これは、国家予算の2%強になります。
 2兆円の中身は税金だけではないと思いますが、このことからも色々な事を考えないといけないですね・・・
Posted by toyo at 2010年06月24日 09:48

『人間社会という上からの目線からみた地球に対しての問題ではなく人間自身の問題であるという視点が欠けている』

…共感です。「エコ」「ボランティア」など、言葉ばかりが先行しているような気がしてなりません。

コンビニのごみ箱などはヒドイようで、従業員の方が日々ごみ箱のゴミの分別をすると聞いた事があります。

家庭のゴミ箱、職場のゴミ箱、公園、コンビニ、スーパーのゴミ箱…まずはココからのスタートでも充分なエコだと思います。
Posted by iwako at 2010年06月23日 23:23

Think global act locally という言葉がありますが、どのようなことも自分自身の小さな1歩から始まると思います。 そのためにも気もちの共有が出来ると良いですね・・・・「自然」とか「綺麗」とかいうものは、同じ言葉を使いますが頭の中のイメージは一人ひとり結構ちがうものです・・
Posted by toyo at 2010年06月23日 16:54

テレビなどで、美しい景色を見た時など、こんなに綺麗な所があるんだなぁ〜、世界は広いな〜と思います。日本でも日本海や沖縄の海は綺麗ですね。自然が破壊され汚い所もありますが、綺麗な所もあるのです。美しい地球が無くならないように、環境問題は世界中で取り組んでいかないといけないですね。
Posted by youko at 2010年06月22日 22:09
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