2010年03月27日
コアラの秘密

みなさんおなじみのコアラですが、このコアラがユーカリの葉っぱを食べている姿を見たことがある方は多いと思います。しかし、このユーカリという植物に毒性があることを知っている方は少ないかと思います。
この成分は、青酸(シアン化水素・HCN)という成分で、血液中のヘモグロビンを結合し、酸素を体内で運べなくしたり、細胞中でエネルギーをつくれなくなる作用のあるものだそうです。しかし、そのユーカリを食べてもなぜコアラは平気なのか・・・?
答えは、コアラのおなかの中にあります。コアラは青酸を分解することのできる腸内細菌と共生することによってユーカリを食べても平気であり、なおかつ他の動物の食べることのできない植物を食用とすることで食べ物の取り合いをするのを避けることができるということなのです。
しかし、この腸内細菌ですが生まれつき居るのではありません。多くの哺乳類は、生まれた時は無菌状態なのですが、なんらかの方法である特定の菌と共生を始めると言われています。コアラの場合は母親の身体のお便り(便)を口から入れることによって共生関係が始まり、ユーカリを食べることができるということなのです。
他の動物でも、特定のビタミン類を摂取しなくても腸内細菌が産生(生物の世界では、こういう言葉を使います)してくれるために同じものばかり食べていても健康上問題ないという種もたくさんいるのです。
人間はというと、やはり生まれた時は無菌状態なのですが、翌日くらいからはビフィズス菌が非常に優勢になっています。このビフィズス菌がどこから来るのかは、「お母さんの産道を通るときにもらう」とか色々な説がありますが、最近、オランダの研究で母親の母乳からビフィズス菌が発見(分離)されたということもあり、まだまだ未解明のことが多い様です。
こうして、いろいろな動物が実はそれぞれの微生物を共生することで知らず知らずの間に身体を保っていくために大きな働きをしています。この世界かまだまだ未知の世界が多いのでもっといろんなことがこれからもわかって来るでしょうね。
Posted by toyohiko at 12:00│Comments(0)
│身体のしくみ
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