2014年10月23日
血管とカルシウムと免疫

カルシウムが、骨など身体の骨格をつくるだけでなく、心臓などの循環器系を含め身体の中の色々なところで様々な働きをしていることは、以前述べたとおりです。
今回は、血管とカルシウムについて考えていきたいと思います。血管の壁は平滑筋という筋肉の層でできています。その筋肉が必要に応じて伸びたり、縮んだりすることで血管の太さを調整することで、血圧も含め血流をコントロールしています。
具体的にいいますと、アドレナリンという物質は脳や筋肉の血管を広げる作用があるために、より多くの血流を送り身体を闘争や逃亡に備える仕組みがあるといわれています。
また、血管を収縮させる作用のあるものもあります。その代表的なものがニコチンで、煙草を吸いなれない人が、煙草を吸うと頭がクラクラするのはそのためだといわれています。
その血管の収縮には、カルシウムが大きく関与しているといわれています。あらゆる細胞の表面には、カルシウムが出入りするための小さな穴が開いています。カルシウムがこの穴を通過することで、電気的な変化が起こり、血管が収縮するのですが、カルシウム拮抗型といわれる降圧剤は、このカルシウムが出入りするカルシウムチャンネルといわれる小さな穴をふさぐことで、血管の収縮することができなくなり血管が広がったままになることによって血圧が下がるというメカニズムになっています。
しかし、このカルシウムチャンネルを薬によってふさいでしまうということで、他の問題が出てきてしまう可能性があります。このカルシウムチャンネルは血管だけでなく身体中のすべての細胞に存在するために、細胞の働きが充分に機能しないということが起こるということが指摘されています。
その中でも、特に免疫細胞のカルシウムチャンネルがふさがれてしまうことは、免疫機能そのものが、阻害されてしまうリスクにつながってしまいます。このことは、カルシウムという元素がさまざまな細胞の機能に大きな関わりがあることを表しています。
また、1993年に茨城県で行われたカルシウムチャンネル阻害型の血圧降下剤に関する調査によりますと、このタイプの降圧剤を飲んでいる人は、飲んでいない人に比べるとがんによる死亡危険度が1.14倍。さらに、1.3倍であるという結果が出ているそうです。
これらのことからも、カルシウムは、骨格から免疫システムまで様々な身体の機能に関わっているということを頭に入れたうえで、日々の生活を考え直すことも必要かもしれません。
Posted by toyohiko at 10:12│Comments(0)
│身体のしくみ