2014年10月25日
免疫とコレステロール

コレステロールについては、善玉とか悪玉という言葉も含めあまり良くないイメージも持つ人がたくさんいると思います。これは、「コレステロールが高いと動脈硬化を起こしやす。」いという理由からきているといわれています。
その元になった研究が二つあるといわれていますが、ひとつは、1913年にロシアの病理学者ニコライ・アニチコフによって報告されたもので、内容としては、ウサギに大量のコレステロールを投与したところ、コレステロールが血管に沈着して動脈硬化が起こったことを「動脈硬化の原因はコレステロール」という内容の論文を発表したことによります。
しかし、この研究に関しては後に問題も指摘されています。それは、そもそもウサギは、草食動物であるためにコレステロールを多く含む食品を食べる習慣がない。そのために、コレステロールを代謝する仕組みが人間とは異なるために、学説そのものに無理があるという指摘です。
もうひとつの研究は、1970年代にアメリカのステッドという学者が発表した。「食品中のコレステロールが、100mg増加すると、血液中のコレステロールが6mg上がる」という説です。この説によって、「コレステロールの高い人は、卵や魚卵を控えるべき・・・」とか「卵は、1日1個まで・・・」という話が広まったことは、多くの人が記憶していると思います。
コレステロールは体内でも生成されることもあり、個人差も大きくこの説についても、のちのち、疑問を投げかけられているという状態になっています。
そういった意味では、「コレステロールは身体に悪い・・・」という説の根拠が揺らいでる状態ともいえると思います。
さらに、近年に発表された日本脂質介入試験では、5万人を対象に6年間にわたりコレステロールと狭心症や心筋梗塞などの関係を調べた結果、死亡率が最も低いのは、男女ともにコレステロール値が240~260のグループだったという報告がなされ話題になっています。
つまりこのことは、コレステロール基準値の220mg/dlという数値に対して、大きな疑問を投げかけたということになるからです。
もともと、コレステロールは免疫細胞の働きと大きな関係があるといわれています。そのことは、臓器移植などの時に薬でコレステロールを低下させ、免疫反応を下げることにより移植後の拒絶反応を防ぐ治療が行われていることからしても、科学的な根拠としても明らかであるといえると思います。
また、JR東日本と帝京大学の共同研究によると、「列車の飛び込み自殺をした55~60歳の男性の約9割がコレステロールの低下薬を飲んでいた。」という報告もあります。
そもそも、身体は最良のバランスを保つ方向に作用するように出来ているものだと思います。そのために脳に脳に対して、様々な「指令をしなさい・・・」というサインを送っているのだとしたら、身体の中の一番大切な防御システムである免疫システムについても、見せかけの数値だけに惑わされるのではなく、もっと自分自身の身体をの会話を大切にしたほうが良いのかもしれませんね。
Posted by toyohiko at 10:04│Comments(0)
│身体のしくみ