2014年11月23日
飲み物の温度と身体

皆さんは、普段、飲み物の温度というものは気にしますでしょうか。温かいか、冷たいかということは選択肢として常に意識しますが、それは気温とのかかわりが多いのではないでしょうか。
一般的には、暑いときには冷たいもの・・・。寒いときには温かいものという方が多いと思います。また、慣習というものも飲み物の温度と大きく関係することもあります。
たとえば、もともとヨーロッパではビールを常温で飲むのが習慣化していますが、日本では、冷たく冷やして飲むのが一般的です。このような習慣は日本発という話も耳にしたことがあります。
これらの話は味覚などの表面的な理由によって、決められていることが多いのではないでしょうか。
事実、食べ物の温度は低いほど甘さが感じにくくなります。普通の人であれば、溶けたアイスクリームや温くなった炭酸飲料などは、甘ったるくて飲んでいられないという人がほとんどだと思います。また、炭酸の気泡も味覚に大きく影響を与えます。
しかし、身体がとのように反応するかというような視点で考えると、少し違った見方ができるのではないでしょうか。
基礎代謝を考えた場合、周りの気温が高い季節よりも冬のように寒い季節の方が高いということをご存じのかたも多いと思います。
これは、人間は恒温動物のために、周りの温度が低いほど体温を維持するためのエネルギーをたくさん必要とするためです。
これを、消化管内に入れた飲み物の温度で考えた場合はいかがでしょうか。
ドイツ栄養研究所のM.ボッシュマン博士の研究によりますと、37℃の水より22℃の水の方が、身体のエネルギー消費量が増加すると同時に、エネルギー代謝が活発になるという報告があります。
その理由としては、エネルギー消費量の増加分の約40%が水の温度を体温までに高めるために使われるからと考えられています。
この研究が、ドイツで行われたために、比較した温度が22℃という常温に近い温度でしたが、身体を冷やすほどの量でなければ、通常、日本で飲まれている冷たいものを飲むときの温度である10℃以下の温度の場合は、さらに代謝アップの効果が高いということが考えられます。
冬などは気温か低いために、温かい飲み物を好むようになります。体内に入った熱量で一時的に温かくなったように感じますが、身体自身の持つ熱の産生力が鍛えられません。また、血流を含めた循環の悪化によって、冷え症などの症状がかえって治りにくいなどの悪影響も考えられるというのです。
とはいえ、代謝力が下がった状態で、いきなり冷たいものを飲むことは身体が対応でききれずに、かえって身体を冷やしてしまうかもしれませんので、常温で少しずつから始めるのことも必要かもしれません。
身体の機能は、適度の負荷をかけ続けることによって鍛えられる・・・ということを頭にイメージしながら、飲み物の温度を考えてみることも大切なのかもしれませんね。
Posted by toyohiko at 00:11│Comments(0)
│身体のしくみ